2015 Fiscal Year Research-status Report
B細胞最終分化系譜における非コードRNA発現制御機構の解析
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26460580
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 和彦 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (20332869)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 抗体 / ゲノム / 体細胞突然変異 / 脱アミノ化酵素 / B細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
獲得免疫で中心的な役割を担う抗体は、多様な抗原に対するレパートリーを備えている。抗体産生細胞B細胞は、胚中心B細胞を起点に記憶B細胞あるいはプラズマ細胞へと分化する。しかしながらどのような仕組みで抗体産生能を維持しているのかは明らかではない。この過程では、成熟B細胞のステージで発現する活性型シチジン脱アミノ化酵素(AID)を介した分子制御機構が必須である。AIDのco-factorとして位置づけられる胚中心関連核タンパク質GANPは、AIDとタンパク質レベル、抗体遺伝子座、RNA結合能において関連することが示唆されている。本研究ではGANPのRNA認識モチーフに着目し、どのような仕組みでB細胞最終分化系譜においてmiRNA/mRNAの発現変化を引き起こすのか、なぜ選択的miRNA/mRNAの発現と核外輸送が行われているのかという分子基盤の解明を目指す。今年度は、ヒトRamos B細胞株を用いたChIP-seqとRIP-seqの解析を進めた。N末及びC末に対する抗GANP抗体によるChIP-seqでは、それぞれ78%、10%のカバレッジであった。C末抗体のChIP-seq解析の結果、4つの番染色体上に有意に、GANPと結合性を示す配列がenrichmentしていることが認められた。すなわちC末抗体によるGANPのゲノムアクセス領域に何らかの選択性があることが示唆された。一方、同じくRIP-seqではユニークヒットは約1%であった。RPKM値50以上では、N末抗体で約45遺伝子、C末抗体で約65遺伝子であり、ほぼ共通の遺伝子がヒットしていた。その多くは非コードRNAやmiRNAであった。次世代シーケンスを用いて得られた配列情報の有意性について、バイオインフォマティクス解析を展開するとともに、個別遺伝子を絞って検証を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次世代シークエンス解析から、標的となる遺伝子群が予想以上に多く存在することが示唆されている。その生物学的意義について解析を進めている。また、本年度は、熊本大学から大阪大学に移動に伴い、遺伝子改変マウスを用いた実験に取り組めず、細胞株での研究となった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、遺伝子改変マウスB細胞を用いた実験によって生理的意義と生物学的意義が繋がる解析を進展することを計画する。
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Causes of Carryover |
一年目から二年目への繰り越しが反映されると共に、熊本大学から大阪大学への移動があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
解析精度を向上して研究推進を図るため、シークエンス解析の経費として最終年度に使用する予定。
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