2015 Fiscal Year Research-status Report
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26460582
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
義江 修 近畿大学, 医学部, 教授 (10166910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 智紀 近畿大学, 医学部, 助教 (00448771)
金井 亨輔 近畿大学, 医学部, 助教 (20596621)
藤田 貢 近畿大学, 医学部, 准教授 (40609997)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ケモカイン / CCL28 / 腸管マイクロビオーム / IgA 産生細胞 / 粘膜免疫 / 抗菌作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
Common Mucosal Immune System (CMIS) は、局所で誘導された IgA 産生細胞が全身の粘膜組織に分布して粘膜防御に形成するシステムである。このような IgA 産生細胞の再分布にはケモカイン系が密接に関与すると考えられる。CC ケモカインの一種 CCL28 は全身の粘膜組織で強く発現し、またそのレセプター CCR10 は 特に IgA 産生細胞で強く発現している。そのため、CCL28-CCR10 系が CMIS の基盤的ケモカイン系であろうと推測される。また CCL28 は粘膜組織にホーミングする好酸球に発現する CCR3 にも作用する。さらに CCL28 は真菌や細菌に対して直接的な抗菌作用を示すことも示されている。このように CCL28 は全身の粘膜組織における生体防御において多面的かつ重要な役割をはたしていると考えられる。このような仮説のもとに本研究では粘膜免疫における CCL28 の役割の総合的な解明を試みることとし、以下の実験をおこなった。まず CCL28 遺伝子欠損 (CCL28-KO) マウスの作製に成功した。つぎに粘膜組織での IgA 産生細胞や好酸球の分布や粘膜免疫応答を検討した。またデキストラン硫酸ナトリウム (DSS) により誘導される腸炎モデルでの検討を行った。さらに腸管ミクロビオーム解析を行った。これらの実験の結果、CCL28 は IgA 抗体産生細胞の腸管組織への遊走に関与し、また DSS 誘発性大腸炎の発症に影響を与えることが見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成 27 年度には CCL28-KO マウスの系統継続に成功した。そこで本マウスと野生型マウスとを用い、粘膜組織での IgA 産生細胞や好酸球の分布や粘膜免疫応答を検討した。さらに DSS 誘発性大腸炎モデルを用いて病理学的解析を行った。腸管ミクロビオームの比較解析を行い、腸内細菌叢における CCL28 の影響を評価した。以上の結果より、CCL28 は腸内細菌叢および IgA 抗体産生細胞の腸管組織への遊走に関与し、また DSS 誘発性大腸炎の発症を抑制することが示唆され、学会発表、論文報告準備等を進めることが出来た。研究達成度としてはおおむね順調と評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成 27 年度までに行ってきた実験をさらに継続し、これまでに得られた結果の再確認と強化を行う。特に CCL28 欠損により DSS 誘発大腸炎が増悪する機構を明らかにし、免疫系や腸内細菌叢との関係を示していく。また IgA 産生細胞の分布を小腸と大腸で比較し、IgA 産生細胞の全身的および局所的な供給機構の詳細を明らかする。また粘膜における CCL28 の直接的な抗菌作用の役割についても、CCL28 レスキュー実験等によりミクロビオームの変化などを観察し、詳細な解析を進めていく。論文報告も完了する予定である。
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Causes of Carryover |
CCL28-KO マウス作製は以前より試みていたが、本研究計画提出時には遺伝子改変の再設計が必要と考えていた。しかしその後の解析により、以前より作製を試みていたマウスは CCL28 遺伝子欠損が確実であると判明し、その後も安定して系統維持できることが分かった。よって CCL28-KO マウスは樹立された判断された。このように、当初本マウス系統樹立に要すると考えていた費用の多くは解析用消耗品費としてのみ使用したため、かかる次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでと同様、平成 28 年度以降の研究経費はほとんどが解析用消耗品費に当てられる予定である。
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Research Products
(1 results)