2014 Fiscal Year Research-status Report
遺伝カウンセリングにおける一般診療と専門診療の機能区分の設定
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26460601
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三宅 秀彦 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40297932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦尾 充子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (10447972)
小杉 眞司 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50252432)
山田 重人 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80432384)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 質問紙票調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度に実施した内容は以下の通りである。 1)遺伝カウンセリングの構成要素の抽出 遺伝カウンセリングの構成要素の抽出にあたり,異なるテーマを持つ4場面の遺伝カウンセリングロールプレイの模擬診療の題材を作成し,これを元に,実際の遺伝カウンセリング場面を再現するようなロールプレイを行った。この内容をビデオにて記録し,さらに,その映像記録から逐語録を作成した。逐語録と映像記録より,その発言内容の意図や態度から受ける印象などを遺伝カウンセリングの構成要素として言語化し,最初に68項目を抽出した。これを研究分担者どうしで検討し,さらに米国遺伝カウンセラー制度委員会(American Board of Genetic Counseling)のコンピテンシーなども参考に,7つの大項目と38の小項目に整理した。 2)遺伝カウンセリングの構成要素の分類 遺伝カウンセリングの構成要素を分類するために,日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会が共同認定する臨床遺伝専門医制度指導医を対象とした質問紙票調査を行った。質問紙は,1)で得られた項目を元に,自由な意見を収集できるよう無記名自記式として作成した。内容としては,一般診療と遺伝診療,それぞれにおける各項目の重要度の差異を確認できるように回答欄を設定し,遺伝カウンセリングに特有な部分が明らかになるように配慮した。この質問紙票調査にあたっては,京都大学 医の倫理委員会の承認を得ている。本調査は平成27年3月に実施され,質問紙は272件を対象宛てに郵送し,平成27年3月31日の時点で,50%以上の回答率を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,一般診療で行われる“基礎的な遺伝カウンセリング”と遺伝の専門診療による“応用的な遺伝カウンセリング”の機能区分の設定であり,これを明らかにするための方法として,まず,遺伝カウンセリングの構成要素を抽出し,その要素が一般診療と専門的な遺伝診療でどのように異なるかを評価することを本研究では着想した。 平成26年度の計画における大きな2つの柱は,1)遺伝カウンセリングの構成要素の抽出と,2)遺伝カウンセリングの構成要素の分類,としていた。 1)遺伝カウンセリングの構成要素の抽出に関しては,当初計画通りに,遺伝カウンセリングロールプレイの実施から,その内容に基づいて,構成要素の抽出を行う事ができた。2)遺伝カウンセリングの構成要素の分類については,1)で抽出した内容から臨床遺伝専門医制度指導医を対象とした質問紙票を作成し,その結果に基づき分類を行う計画としていた。質問紙票の作成までは順調に行うことができたが,質問紙の送付にあたって,若干の遅れが生じた。その理由として,対象とする臨床遺伝専門医の名簿は例年10月から12月に公開されるが,平成26年度は12月に公開され,その公開後に専門医についての情報の確認を行ったため,質問紙票調査の実施時期が3月になったという事情がある。結果として,解析にまでは至らなかったものの,質問紙票の回答率は年度内で50%を超えていた。 以上の成果を持って,本研究は“おおむね順調に進展している”との自己評価を行った次第である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,平成26年度に行った質問紙票調査の集計・解析を行い,その内容から遺伝カウンセリングにおける構成要素の重要度評価を行う。あわせて,この調査についての学会発表を行い,更なる意見がないかの確認を行う。さらに,この重要度評価は,一般診療と遺伝診療のそれぞれについて行い,この2群を比較する事により,一般診療で行われる“基礎的な遺伝カウンセリング”と遺伝の専門診療による“応用的な遺伝カウンセリング”の機能区分を明瞭化が行えると考える。しかし,実際臨床における遺伝診療的な局面の内容は多岐に渡るため,それらの細分化された状況についても対応が可能であるかについて検討を行う。 さらに,個々で得られた内容を元に,遺伝カウンセリング担当者を対象とした遺伝カウンセリング能力の評価に用いることが可能であるかのチェックシートを作成する。このシートは,外部からの評価が可能なように,行動を評価する項目で構成するように作成する。このチェックシートに関しては,遺伝カウンセリング教育を目的とした研修会などへ提供して,遺伝カウンセリングロールプレイの評価に利用してもらう。 最終年度には,研究内容の論文化を行う。さらに,本研究によって構成要素が明らかになった遺伝カウンセリングの利用において主体となる,市民への啓発および遺伝子医療に対するリテラシー向上を促していくための市民公開講座などを検討している。
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Causes of Carryover |
質問紙票調査が対象名簿の発表時期の遅れにより,遅滞が生じたため,集計にかかる人件費,および解析の費用が使用できなかった。これにより,当初予算額より使用額が減ってしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に行えなかった集計,解析の費用にあてる予定である。
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