患者視点に基づく治療効果指標の開発：混合研究法による関節リウマチへのアプローチ

2015 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 26460608
• Research Institution: Nagoya City University
• Principal Investigator: 小嶋 雅代 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30326136)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2019-03-31
• Keywords: 関節リウマチ / アウトカム / 患者の視点 / 生活背景 / 国民生活基礎調査

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、関節リウマチ（RA)患者の視点に立ちながら、医療者も理解可能な治療効果指標の開発をめざし、特に早期RA患者の身体的・心理的な変化の把握を目的として行うものである。
初年度は文献レビューを行い、また平成19年度国民生活基礎調査の匿名データを用い、RA患者の生活背景についての分析を行った。
二年目である今年度は、国民生活基礎調査による分析をさらに発展させるために、統計法第33条に基づき、厚生労働省より平成25年国民生活基礎調査のデータ提供を受けた。国民生活基礎調査の健康票が回収できた590,986人うち、性・年齢不明者446人を除く、男性288,020人、女性302,520人を対象とし、健康票上で「現在、傷病で病院や診療所、あんま・はり・きゅう・柔道整復師に通っている」と回答し、傷病名として「関節リウマチ」を選択したものを「RA患者」と定義したところ、全体で男性947人、女性2,931人のRA患者が同定された。
RA有病率は男女とも年齢と共に上がり、女性では71－75歳が（2.21％）、男性では76－80歳が最も髙く（1.04％）、特に女性では50代後半、男性では60代後半に大きな有病率の増加が見られた。性差(女／男)は30－40歳代で5倍前後と高く、その他の年代では2－3倍前後であった。RA患者は男女共に日常生活上の制限を受け、精神的な負荷が髙く、特に20－30代で顕著な差が見られたことから、子育てや職場でこれからの活躍を期待されるこれらの世代への積極的なサポートが必要であることが確認できた。
昨年度に引き続き、RA患者へのヒアリング調査も行った。また、名古屋リウマチネットワークメンバーとのミーティングを継続し、愛知県内のリウマチ専門医を対象に、調査への協力の可能性について依頼文書を送付した。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初の予定では、初年度にコホート調査の調査項目を確定し、調査用紙を印刷する予定にしていたが、限られた時間内で連携研究者との十分な検討ができずに持ち越しとなった。その間に国民生活基礎調査の活用の可能性を探り、有用性が認められたため、今年度は、統計法第33条に基づき、厚生労働省より平成25年国民生活基礎調査のデータ提供を受け、リウマチ患者の生活背景に関する分析を行い、有意義な結果が得られた。
平成27年度中に調査協力可能な愛知県内のリウマチ専門医が特定できたので、平成28年度は速やかに患者調査に進むことができると考えている。

Strategy for Future Research Activity

平成28年度はリウマチ患者を対象とした自記式質問紙による調査を実施予定である。平成27年度のヒアリング調査および文献レビューから、患者の自助グループ活動が、治療効果の向上に有用である可能性が示唆されたため、自記式質問紙では、患者の自助グループへの参加の有無、程度や、ブログなどによる情報発信の有無について、および寛解、治療目標について尋ねる。昨年度実施した、愛知県内のリウマチ専門医を対象とした調査によれば、最大で1300名の患者からの協力を得ることが可能である。
リウマチ患者を対象とした自記式質問紙は、協力の了承が得られたリウマチ専門医を介して患者に手渡しし、無記名で調査事務局へ返送してもらう。インタビュー調査への協力の可否を尋ねる用紙を同封し、インタビュー調査への参加を希望する者は、住所、氏名を記入して、自記式質問紙と共に返送するよう求める。
平成28年度はさらに、インタビュー調査への参加を希望するものを対象に、「患者の自助グループの意義、寛解、治療目標」について、5～6名ずつフォーカスグループを３～４回行い、RA患者にとって意味のある治療効果とは何か、患者同士の情報交換の場をどのように発展していくべきかなどを探索する。

Causes of Carryover

予定していた患者を対象とした自記式質問紙の郵送調査の準備が間に合わず、平成28年度へ持ち越しとなったため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

平成28年度は、患者を対象とした自記式質問紙の郵送調査の準備が着々と進んでおり、予定通りに集計解析まで終えられると考えている。

Research Products

• [Journal Article] Patient-reported outcomes as assessment tools and predictors of long-term prognosis: a 7-year follow-up study of patients with rheumatoid arthritis. (2015)
  • Author(s): Kojima M, Kojima T, Suzuki S, Takahashi N, Funahashi K, Asai S, Yoshioka Y, Terabe K, Asai N, Takemoto T, Ishiguro N.
  • Journal Title: International Journal of Rheumatic Diseases Volume: NA Pages: NA
  • DOI: 10.1111/1756-185X.12789
  • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
• [Journal Article] The process of collecting and evaluating evidences for the development of Guidelines for the management of rheumatoid arthritis, Japan College of Rheumatology 2014: Utilization of GRADE approach. (2015)
  • Author(s): Kojima M, Nakayama T, Kawahito Y, Kaneko Y, Kishimoto M, Hirata S, Seto Y, Endo H, Ito H, Kojima T, Nishida K, Matsushita I, Tsutani K, Igarashi A, Kamatani N, Hasegawa M, Miyasaka N, Yamanaka H.
  • Journal Title: Modern Rheumatology Volume: 26 Pages: 175-9
  • DOI: 10.3109/14397595.2015
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] Postoperative complications in patients with rheumatoid arthritis using a biological agent - A systematic review and meta-analysis. (2015)
  • Author(s): Ito H, Kojima M, Nishida K, Matsushita I, Kojima T, Nakayama T, Endo H, Hirata S, Kaneko Y, Kawahito Y, Kishimoto M, Seto Y, Kamatani N, Tsutani K, Igarashi A, Hasegawa M, Miyasaka N, Yamanaka H.
  • Journal Title: Modern Rheumatology Volume: 25 Pages: 672-8
  • DOI: 10.3109/14397595.2015.1014302
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] Importance of methotrexate therapy concomitant with tocilizumab treatment in achieving better clinical outcomes for rheumatoid arthritis patients with high disease activity: an observational cohort study. (2015)
  • Author(s): Kojima T, Yabe Y, Kaneko A, Takahashi N, Funahashi K, Kato D, Hanabayashi M, Asai S, Hirabara S, Asai N, Hirano Y, Hayashi M, Miyake H, Kojima M, Ishiguro N.
  • Journal Title: Rheumatology Volume: 54 Pages: 113-20
  • DOI: 10.1093/rheumatology/keu302
  • Peer Reviewed
• [Presentation] 国民生活基礎調査から見た わが国における関節リウマチ患者の現状 (2016)
  • Author(s): 小嶋 雅代、 中山 健夫、 津谷 喜一郎、五十嵐 中、小嶋 俊久、 鈴木 貞夫 、早野順一郎
  • Organizer: 第26回日本疫学会学術大会
  • Place of Presentation: 米子コンベンションセンター(鳥取県）
  • Year and Date: 2016-01-21 – 2016-01-23
• [Presentation] Findings from Comprehensive Survey of Living Conditions in Japan: Use observational study in CPG development for traditional medicine (2015)
  • Author(s): Masayo Kojima, Takeo Nakayama, Keiko Yukawa,Kiichiro Tsutani
  • Organizer: The 4th International Symposium of Clinical Practive Guidelines in Traditional Medicine
  • Place of Presentation: Jaema Hall, Korean Institute of Oriental Medicine, Daejeon, Korea
  • Year and Date: 2015-10-27 – 2015-10-27
  • Int'l Joint Research / Invited
• [Presentation] A mixed method approach to capture patients’ values and preferences for rheumatoid arthritis management in Japan (2015)
  • Author(s): Masayo Kojima, Takeo Nakayama, Mieko Hasegawa, Hiromu Ito, Hirahito Endo, Yuko Kaneko, Yutaka Kawahito, Toshihisa Kojima, Mitsumasa Kishimoto, Yohei Seto, Keiichiro Nishida, Shintaro Hirata, Isao Matsushita, Kiichiro Tsutani, Ataru Igarashi, Naoyuki Kamatani, Nobuyuki Miyasaka, and Hisashi Yamanaka
  • Organizer: 国際混合研究法学会アジア地域会議
  • Place of Presentation: 立命館大学（大阪いばらきキャンパス）
  • Year and Date: 2015-09-19 – 2015-09-20
  • Int'l Joint Research
• [Presentation] 多関節障害重症関節リウマチ患者の背景要因に関する疫学的検討 (2015)
  • Author(s): 小嶋 雅代、小嶋 俊久、石川 肇、西田 圭一郎、橋本 淳、宮原 寿明、田中 栄、芳賀 信彦、二木 康夫、石黒 直樹
  • Organizer: 第59回日本リウマチ学会学術集会
  • Place of Presentation: 名古屋国際会議場(名古屋市）
  • Year and Date: 2015-04-23 – 2015-04-25