2015 Fiscal Year Research-status Report
芸術を応用した患者安全教育プログラムの開発―学習と改善の安全文化育成を目指して―
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26460609
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山口 悦子 (中上悦子) 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (60369684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村尾 仁 大阪医科大学, 医学部, 講師 (00278540)
糸井 利幸 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10264780)
森本 玄 京都造形芸術大学, 芸術学部, 教授 (60411310)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 患者安全教育 / 芸術 / 学習する組織 / 改善 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、職員が主体的・創造的に改善を継続する態度や能力を培う学習支援を目指し、芸術の患者安全教育への応用可能性を探索している。そこで、共同研究施設で協力して、芸術的手法を応用した教育プログラムを開発・実施しながら、協働的な学習を通じた主体性・創造性の育成が安全文化に及ぼす影響を検討している。平成27年度は、平成26年度より継続中の現状調査として、大阪医大・京都府立医大で安全文化の調査を行った。現在、3施設分のデータを分析して学会発表にむけ準備中である。研究テーマに関連する論文も発表した。 また、今年度は京都府立医科大学(6月5日)、大阪医科大学(9月4日)、医療の質安全学会開催時(11月23日)、大阪市立大学(2月12日)に打ち合わせ会議を実施し、各施設における教育プログラムの企画や進捗状況の確認を行った。京都府立医科大学では、安全のための環境改善プログラムとして、12月21日に京都造形芸術大学ヤギタカシ氏を講師に迎えて「医療安全からみた院内照度」の講演とワークショップを実施した。大阪医科大学では、患者参加の医療安全をテーマに、京都造形系芸術大学イチハラヒロコ氏からアドバイスを受けながら、「患者さまから募集する医療安全標語」と題したプロジェクトを実施した。集まった標語は、患者を交えて選考を行い、優秀作品は院長や医療安全推進部長から市民医学講座で表彰、その後、標語をポスターに印刷し、院内に展示するという一連のイベントを開催した。大阪市立大学では、京都造形芸術大学の村上聡氏・岩本守弘氏と学生メンバー、医療安全管理部急変時対応作業部会メンバーとが協働して、アニメーションを制作した。このアニメーションは、患者の重症化の予兆に早く気付きチーム内で迅速に情報共有して、院内のリソースを活用し致死的な重症化を防ぐための、一連のトレーニングプログラムにおける教育ツールとして開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、平成26年度からの調査を継続し、各施設の教育プログラムの企画を完成させ、施設毎に開発されたプログラムを実施する予定であったので、おおむね順調に進行していると考えている。プログラムの実施と並行してデータ収集も行われており、28年度、成果発表に向けて各施設で分析やまとめに入っている。また、関連するテーマの研究発表(論文化)も行った。計画では、互いの施設で成果物を紹介し、共有し合うセミナーを開催する予定であった。各施設の進捗や成果物は定期的に開催している会議において共有化が図れている。セミナーに関しては、今後、各施設の実情に合わせて相互に実施する方向性を探っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は、施設毎に開発されたプログラムを共有し、可能であれば、実施施設の医療安全担当部門の職員と協力して、医療安全研修として開催する。実施されたプログラムは、収集されたデータを分析し実践を評価すると共に、結果に基づいて教材およびプログラムの修正を行う。他施設でも実施可能なものについては、さらに修正を加えて一般化された成果物とする。必要に応じて、安全文化やコミュニケーション・チームワークに関する調査も行う。 また、データの共有と分析、実践の評価および検討を行っていくための定期的な会議を、3回以上開催する予定である。成果については、医療の質安全学会、International forum on quality and safety in healthcare Asia他学会や報告会等で発表を準備中である。また論文化の準備も進め、可能であれば年度内に出版する。教育プログラムの詳細はガイドラインとしてまとめ、報告書内に記載する予定である。報告書については広く利用できるようpdf化してダウンロードもできるように準備する。
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Causes of Carryover |
データ分析のためのソフトウエアを購入予定であったが、事務手続きの締め切り等で年度内に購入できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
統計解析用ソフトウエアの購入を予定。
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