2016 Fiscal Year Research-status Report
老健・介護施設における看取り環境の改善方法に関する研究
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26460619
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Research Institution | Kacho Junior College |
Principal Investigator |
野田 隆生 華頂短期大学, 教養科, 准教授 (00390097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村岡 潔 佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (10309081)
大西 次郎 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (20388797)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 看取り環境 / 臨終行儀 / 生命倫理 / 社会史 / 死生観 / ビハーラ / 緩和ケア病棟 / エンドオブライフケア |
Outline of Annual Research Achievements |
4月と5月については、主に前年度の研究業績について研究代表者ならびに分担者を含め情報交換をE-mailを通じて行った。6月29日(水)の午後5時30分より同7時まで科研会議を、華頂短期大学の野田研究室にて行い、研究代表者である野田が今後の研究計画や今までに聞き取り調査を行った施設でのインタビュー内容に基づき、看取りの実践と現状に関する問題点についてカテゴリー毎の整理を行った。それを基軸に2回の聞き取り調査を予定し、すべてにおいて効果的な結果を得ることができた。 1回目は、8月4日(木)に一般財団法人大日本仏教慈善会財団あそかビハーラ病院での聞き取り調査を行った。対象としては、看護師1名、常駐ビハーラ僧1名、院長1名にそれぞれ1時間ほどのヒアリングを行った。平成20年にあそか第2診療所(あそかビハーラクリニック)として開設され、同27年4月には28床の緩和ケア病棟としての認可を得ている。そのため本施設において5年以上の現場経験を有するスタッフはたいへん少ないということであった。2回目は、10月7日(金)に社会福祉法人さっぽろ慈啓会特別養護老人ホームでの聞き取り調査を行った。対象としては、介護職員、看護師、ソーシャルワーカー各一人であり、施設内での情報共有や隣接する慈啓会病院との連携について多角的な視点でのヒアリングを行うことができ、有意義な意見を頂戴することとなった。 野田は、6月25日(土)にいのちの教育実践研究会で基調講演を行った。研究分担者の村岡は、11月5日に第35回日本医学哲学・倫理学会にて「医師‐患者関係の水平化に関する一考察」と題して口頭発表を行い、大西は、『地域ケアリング』(18(9),52-55,2016)に「自己決定支援という介護職の専門性―高齢者施設におけるエンドオブライフケアー」を投稿するなど、それぞれの研究成果の報告を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度より同28年度までの研究であったが、当初予定していたアジアでの死生観や病院・福祉施設の現状について比較を行う予定であったが、その点に関しては現時点においても課題となってしまった。そのため、平成29年度について期間の延長を申請し取り組んでいく予定となっている。平成28年度において緩和ケア病棟ならびに特別養護老人ホームでの聞き取り調査を展開し、そこでの特長ある施設での看取りを知ることになったことは、本研究を進めていく上で有益な知見となっている。過去3年間に調査訪問を行った病院・施設での結果を踏まえて、テーマとしている「看取り環境」へのアプローチを図る作業を今後行うこととなる。 課題点としては、研究の成果を代表者ならびに分担者それぞれが個別にて学会での口頭発表や投稿論文等に掲載しているので、今後はまとまった形式での研究発表の方法を検討し、遂行していくことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、平成26年度より同28年度までを予定していたが、アジア圏とくに韓国や台湾での看取り環境の国際比較を通じてテーマに迫ることを首肯していたが、いまだに実現ができていないため、充分な研究成果を得ることができていない状況である。一方、国内での聞き取り調査については、ほぼ順調に進展している。それらを考慮し、単年度の期間延長を申請し、承認された。 4・5月は過去3年間の研究において参考としてきた文献や資料の再整理と、聞き取り調査の結果を踏まえて「看取り環境」へのアプローチを図っていきたい。6月初旬に科研会議を開催し、上記を踏まえた総括を行い、学会発表に向けた準備に入る。とくに、日本仏教看護・ビハーラ学会が韓国にて8月25日(金)~同27日(日)に開催されるので、本研究の成果の一部を発表する予定をしている。その後は、各自の所属する大学研究紀要や学会誌への投稿を10月末日に向けて行う。場合によっては、施設見学ならびに聞き取り調査を7~9月に行うことも考えられる。 最終的な総括をシンポジウムとして開催する予定である。開催日は平成30年2月下旬とし、テーマ、登壇者等々については今後詰めていくことになるが、10月までには確定し、案内チラシを作成し、関係各所へ通知または手交する予定をしている。
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Causes of Carryover |
アジア文化圏における死生観の実地調査に関して補助金事業期間(平成26年度より同28年度まで)において渡航する計画が未執行であることが今回の結果を招いている。地域としては、韓国ならびに台湾が候補地となっていた。国内での病院や福祉施設への実地研修ならびに聞き取り調査については、有益な結果を得ることができている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
韓国もしくは台湾での病院もしくは福祉施設での実地研修を一度設けたい。その渡航費用ならびに諸費用(含、謝礼)として以下のように考えている。旅費・交通費17万円×3名分、謝礼金1万円×3名分(通訳、病院等スタッフ)として二泊三日を予定している。合計が54万円となる。もしくは、平成29年8月25日より27日まで韓国で開催される日本仏教看護・ビハーラ学会にて研究発表を計画しているので、学会への参加と併せて韓国の施設への見学を組み入れることも視野に入れている。 研究の総括としてシンポジウムを平成30年2月下旬に開催する予定である。企画内容としては、基調講演(1名)、シンポジウム(登壇者3名)となる。基調講演者に謝礼として3万円、パネリストへは1万円を考えている。内容詳細が決まり次第、広報のためのチラシを1,000部作成し、大学関係や病院・施設に向けて配布する費用として、約20万円を考えている。
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Research Products
(10 results)