2016 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanism of cellular responses to non-thermal plasma irradiation
Project/Area Number |
26460630
|
Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
原 宏和 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (30305495)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 哲夫 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (40137063)
神谷 哲朗 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (60453057)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | プラズマ / 活性酸素種 / 亜鉛 / 細胞死 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
大気圧プラズマを医療に応用するプラズマ医療が進行している。プラズマ照射はがん細胞に対して選択的な傷害作用を示すことから、がん治療はプラズマ医療の期待される分野の一つとなっている。プラズマ照射の方法には、がん細胞や組織にプラズマを直接照射する直接法と、プラズマを培地に予め照射し作製したプラズマ照射培地(plasma-activated medium , PAM)を負荷する間接法がある。昨年度までに、我々は、PAM負荷により細胞内で増加する遊離亜鉛(Zn2+)が細胞死に関与していること、Zn2+の遊離はPAM中の活性酸素種(ROS)により惹起されることなどを明らかにした。本年度は、PAMによる細胞傷害の程度はがん細胞と正常細胞で差異が認められる原因について細胞内Zn2+動態の観点から解析し、PAM による遊離する細胞内Zn2+量の多い細胞では、ミトコンドリア障害によるエネルギー産生低下が起きやすいことを明らかにした。これらの結果から、細胞内Zn2+量の違いがPAMに対する細胞感受性に影響を及ぼしていると考えられた。 また、肺がん由来のA549細胞に細胞障害を惹起しない低レベルのPAM負荷は細胞増殖を抑制する。PAMによりがん抑制遺伝子p53タンパク質の細胞内蓄積が亢進すること、p53の上流のATMの活性化やp53タンパク質の蓄積がZn2+キレーターにより抑制されることなどから、PAMによる細胞増殖抑制には遊離Zn2+によるATM-p53経路の活性化が関与している可能性が示唆された。 以上より、プラズマという物理的刺激が亜鉛シグナルに変換されることが、プラズマによる細胞傷害の初期応答に重要であること、細胞内Zn2+含有量の多いがん細胞はプラズマの抗がん効果が表れやすいことが明らかとなり、本研究成果はプラズマを利用するがん治療において有益な情報になると考えられた。
|
Research Products
(12 results)