2014 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病における海馬機能低下の腎不全による修飾:小胞体ストレスの関与
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26460634
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小菅 康弘 日本大学, 薬学部, 助教 (70383726)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 海馬 / 腎不全 / 小胞体ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、糖尿病は鬱病や認知症といった海馬の機能低下が関与する疾患を誘発・増悪する要因の1つであることが示唆されるものの、そのメカニズムについては不明なままである。本研究は、この糖尿病による海馬機能低下のメカニズムを、糖尿病に伴う腎不全が海馬機能低下を増悪する病態修飾因子となる可能性について検証することで解明する。特に、研究代表者がこれまでに見出している小胞体ストレス抑制薬を用い、小胞体ストレスが病態モデルマウスのシナプスの変性や海馬機能低下に及ぼす役割を精査するとともに、治療薬開発の可能性についても検証する。また、小胞体ストレス可視化マウスを用いて作製した病態モデルマウスの海馬においても小胞体ストレス応答のイメージングを行うことから、小胞体ストレスを起点とした解明を行うことを目的とする。 本年度は、腎臓の5/6を摘出した慢性腎不全モデルマウス(CKDマウス)の海馬における小胞体ストレス関連因子の発現変化について検討した。しかし、先行研究で示されているような記憶障害を示すCKDモデルマウスの作製に苦慮した。また、マウス海馬神経細胞由来HT22細胞を用いたin vitroモデルにより小胞体ストレス抑制薬の検索を行ったところ、これまでに報告されているような化合物よりも強い保護効果を示す化合物を見出すことに成功した。 次年度は、引き続きCKDマウスでの小胞体ストレス関連因子の発現変化について解析するとともに、本年度見出した小胞体ストレス抑制薬が及ぼす影響をモデルマウス等で検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
5/6腎臓摘出マウスを作製し、これらの病態モデルマウス海馬における小胞体ストレス関連分子の変化を生化学的手法により解析する計画であったが、先行研究で示されているような記憶障害を示すモデルマウスの作製に苦慮している。そのため、これらのモデル解析に関しては遅れている。 しかし、in vitroモデルを用いた検討は順調に進行している。 また、in vitroモデルを用いて小胞体ストレスに対する抑制薬の検索を行ったところ、新たな化合物を見出すことに成功した(なお、本化合物については特許申請中である)。 以上のように、in vivoモデルの解析についてはやや不十分な点があったものの、当初の計画以上に化合物のスクリーニングが進んでいるため、総体的な支障はない。
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Strategy for Future Research Activity |
CKDによる尿毒症の原因物質(尿素、クレアチニン、副甲状腺ホルモン、ミオイノシトール、β2ミクログロブリンなど)のマウス海馬初代培養神経細胞への暴露によるPSD-95および小胞体ストレス関連因子の発現変化をWestern Blot法により調べる。 また、本年度の検証により選び出した化合物をモデルマウスに投与し、in vitro病態モデルで認められる小胞体ストレス関連因子の発現やシナプスの変性(PSD-95の減少等を指標)に及ぼす影響について、生化学的手法を用いて評価する。 なお、CKDモデルマウスの作製については、死亡率等が少し高いものの、安定的に作製するのに成功しつつある。
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Causes of Carryover |
5/6腎臓摘出マウスを作製し、これらの病態モデルマウス海馬における小胞体ストレス関連分子の変化を生化学的手法により解析する計画であったが、先行研究で示されているような記憶障害を示すモデルマウスの作製に苦慮し、計画していた数の因子の検索が出来なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在、5/6腎臓摘出マウスは安定して作製することに成功しているため、27年度は、これらのモデルマウスでの小胞体ストレス関連因子の変化を生化学的および組織化学的に検証する。また、CKDによる尿毒症の原因物質がマウス海馬初代培養神経細胞のPSD-95おの発現に及ぼす影響をWestern Blot法により調べる。 そのため、次年度の研究費の大部分は、細胞培養消耗品、実験動物(マウス)の購入費に使用する予定である。また、RT-PCR法またはWestern blot法の解析に使用する消耗品の購入にも使用する。
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