2014 Fiscal Year Research-status Report
女性ホルモンと肝樹状細胞の変化が自己免疫性肝炎発症へ与える影響について
Project/Area Number |
26460643
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
富山 智香子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (80359702)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自己免疫性肝炎 / 17β-estradiol / 肝樹状細胞 / エストロゲン受容体α鎖 / IL-10 |
Outline of Annual Research Achievements |
自己免疫性肝炎(autoimmune hepatitis: AIH)が、他の自己免疫性疾患と同様にAIHも女性に好発し、妊娠・出産や閉経など性ホルモンの大きな変化がその発症・病態の進展に影響すると言われている。そこで、本研究は17β-estradiolの免疫寛容や自己応答性への直接的影響を標的臓器である肝臓内の樹状細胞(dendritic cell; DC)に焦点を当てて明らかにすることで、AIHの特異的診断・治療の基盤作りを目的として、以下の2点について検討を行った。 1.肝および脾における樹状細胞のエストロゲン受容体の局在 エストロゲン受容体(estrogen receptor; ER)はα鎖及びβ鎖の2種があり、前者が免疫応答に関与するといわれており、その変化を解析した結果、ERαについて肝I-Ahigh 及びI-Alow DCの両サブセットの陽性率は20%以下で、差も認められなかった。しかし、17β-estradiol単独投与群およびAIH誘導群については両DCサブセットのERα陽性率は10%以下に低下した。一方、17β-estradiol投与後AIHを誘導した群では両DCサブセットのERα陽性率は70%程度に増加した。ERβ鎖については、肝、脾共にいずれの群においても陽性率は10%以下であった。 2. 17β-estradiolがAIHマウスの肝内樹状細胞の性状に及ぼす影響(in vitro)について サイトカイン産生についてはIL-10の産生増強が17β-estradiol投与+AIH誘導群において肝D及び脾DCに見られ、肝DCが脾のそれに比して優位であった。IL-12p70については、17β-estradiol投与+AIH誘導群において肝、脾DC共に対照群と同様なレベルまで低下した。IFN-γについては、肝DCのみ対照群と同様なレベルまで低下した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は、肝および脾における樹状細胞のエストロゲン受容体の局在および17β-estradiolがAIHマウスの肝内樹状細胞の性状に及ぼす影響(in vitro)の2点について追究し、研究実績の概要通り一定の成果を得た。しかし、本年度は設置予定であったクリーンベンチが本学事務の発注手続きの遅延により、設置が3か月遅れ、in vitroの実験に若干の計画進行の遅れが出た。しかし、エストロゲン受容体の局在の解析がおおむね終了しているため、来年度は残ったin vitroでの樹状細胞のへのエストロゲンの影響および実験的低エストロゲンマウスでの自己免疫性肝炎の肝障害の程度や肝樹状細胞の性状変化を検討する予定である。既に前者は、当該動物実験施設の協力により実験準備が整っている。エストロゲンの血中濃度測定はこれから準備を進めていくが、十分来年度中に行うことが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、残ったin vitroでの樹状細胞のへのエストロゲンの影響および実験的低エストロゲンマウスでの自己免疫性肝炎の肝障害の程度と血中エストロゲン濃度との関係性及び肝樹状細胞の性状変化を追究し、また、論文作成の準備も並行して連携研究者と共に作業分担して効率化を図り推進していく。
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