2017 Fiscal Year Annual Research Report
Reguration mechanism of a new gene HMGA2 in thyroid tumors
Project/Area Number |
26460653
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
菱沼 昭 獨協医科大学, 医学部, 教授 (40201727)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小飼 貴彦 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (40711693)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 甲状腺 / 腫瘍 / 発癌 / 遺伝子 / サイログロブリン / HMGA2 / トランスクリプトーム / 細胞増殖関連遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
われわれは、サイログロブリン異常症にともなう発癌機序の培養細胞を用いた検索から、間葉系細胞の分化に関わる分化マーカーの1つである HMGA2 の発現が甲状腺における発癌機序の一端を担っていると考え、甲状腺腫瘍組織および甲状腺細胞モデルを用いて、その病態生理学的意義につき検索している。 平成28年度には、HMGA2 の免疫染色が濾胞癌の診断に応用できる可能性を示唆する前年度の知見をもとに、当院の病理部に保管されている濾胞癌検体のうち、術後5年以上の経過が明らかな症例(37例)について HMGA2の免疫染色を施行し、染色の結果と術後再発・転移の有無の関係について検索した。その結果、術後の再発・転移に関するリスク比はHMGA2陽性群に対し陰性群で 0.63 (95%信頼区間 0.48-0.83) となり、HMGA2染色が陰性だった場合の転移・再発リスクは有意に低いことが示された。さらにHMGA2強制発現による甲状腺癌細胞のトランスクリプトームの変動について解析し、2種の甲状腺癌細胞株でそれぞれ335種, 324種の遺伝子(細胞増殖に関連のあるATF3、Rho-Family GTPase, Cyclin-D1, CRKL, MDM2などが含まれる)の有意な増加を確認した。ATF3, MDM2 など一部の遺伝子は 変異サイログロブリンの強制発現でも同様に発現が増強され、変異サイログロブリンが HMGA2発現増強を介してそれらの細胞増殖関連遺伝子の発現を誘導している可能性が示唆された。一方、HMGA2強制発現により発現抑制された遺伝子は2種の細胞株でそれぞれ 403種、429種であり、甲状腺分化因子の1つPAX8や、細胞増殖を制御する5種のPPP(セリン・スレオニンホスファターゼ)サブユニットなどが含まれた。なお、成果の一部はアメリカ甲状腺学会などで発表された。
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