2014 Fiscal Year Research-status Report
遺伝性血管性浮腫における自己免疫異常の病態解明と早期診断・治療を目指す研究
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26460654
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
佐藤 信之 順天堂大学, 医学部, 助教 (70621944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 勲 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60407252)
恩田 紀更 順天堂大学, 医学部, 助教 (60465044)
井下 博之 順天堂大学, 医学部, 助教 (80646117)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 遺伝性血管性浮腫 / アポトーシス能 / 免疫複合体可溶化能 / 自己免疫異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.病院内倫理委員会の承認のもと、HAE患者の血液検体を採取し、分注ののち冷凍保存した。また、各種採血項目の測定を行った。 2.HAE患者の現病歴、背景を収集し、まとめた。 3.オプソニン化能測定法の確立 これまでの研究論文をもとに、紫外線を照射したアポトーシス細胞に、健常人血清を反応させ、THP-1細胞より分化させたマクロファージによる貪食率を測定し、オプソニン化能の指標とした。健常人血清の濃度を上昇させるに従い、オプソニン化能は上昇し、30%健常人血清の存在下では、オプソニン化能は70~80%であった。 4.HAE患者のオプソニン化能測定 上記測定法により、HAE患者のオプソニン化能を測定したところ、18名すべてのHAE患者でオプソニン化能は20~50%であり、正常人血清の添加時に比べてオプソニン化能の低下を認めた。 5.免疫複合体可溶化能測定法の確立 これまでの研究論文をもとに、ペルオキシダーゼと抗ペルオキシダーゼ抗体による抗原抗体反応により生成された免疫複合体に、健常人血清を反応させ、遊離ペルオキシダーゼを測定することにより免疫複合体可溶化能の指標とした。 6.HAE患者の免疫複合体可溶化能測定 上記測定法によりHAE患者の免疫複合体可溶化能を測定したところ、18人中1人を除いて、正常人血清に比べてほぼ50%程度への低下を認めた。 7.以上のことから、これまでの実験においてHAE患者血清において、オプソニン化能と免疫免疫複合体可溶化能の低下を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定されていた平成26年度の研究計画通りにスムーズな進捗状況である。今後も平成27年度、平成28年度の研究計画に基づき、スムーズな進捗ができるように心がけていく。
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Strategy for Future Research Activity |
1.アポトーシス細胞に付着する補体因子 アポトーシス細胞に付着する補体因子として、C1q、iC3b、C4の存在を確認する。 これらがオプソニン化に関与する可能性があり、健常人血清とHAE患者血清での差違について考察する。 2.マクロファージの補体受容体 マクロファージに補体受容体CR1、CR3、CR4の存在を確認する。これらがオプソニン化に関与する可能性があり、これらを阻害した際のオプソニン化能を調べる。 3.抗C1q抗体の測定 ELAISA法により18名のHAE患者血清中の抗C1q抗体を測定する。抗C1q抗体の存在による影響を考察する。 4.抗C1-INH抗体の測定 18名のHAE患者血清中の抗C1-INH抗体を測定する。抗C1-INH抗体の存在による影響を考察する。
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Causes of Carryover |
平成26年度の研究計画における予想よりも、スムーズに実験が進み、良好な結果が得られたため、平成26年度の実験に関わる費用の支出が小さかったためと考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度には、1.HAE患者のオプソニン化能や免疫複合体可溶化能の測定を継続し、2.アポトーシス細胞に付着する補体因子の測定、3.マクロファージの補体受容体の測定、4.抗C1q抗体の測定、5.抗C1-INH抗体の測定の際にかかるる費用に充当する予定である。また、研究発表する際の学会参加費にも充当する予定である。
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