2014 Fiscal Year Research-status Report
冠動脈硬化症のリスク/バイオマーカーになる新規ペプチドの検索
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26460659
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
渡部 琢也 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (30297014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木庭 新治 昭和大学, 医学部, 准教授 (20276546)
礒 良崇 昭和大学, 医学部, 准教授 (60384244)
佐藤 健吾 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (70549930)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 冠動脈疾患 / 動脈硬化 / ペプチド / リスクファクター / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
新規ペプチドであるUrocortin-1、Omentin-1、Tumor Necrosis Factor-Stimulated Gene-6 (TSG-6)、Neopterinの抗動脈硬化作用を世界で初めて明らかにするため、我々の最も得意とする基礎研究から臨床研究に渡るトランスレーショナルリサーチを行って検証した。 1. 細胞実験 (in vitro)ーヒト血管壁細胞を用い新規ペプチドの抗動脈硬化作用を検証:動脈硬化の主要3大現象であるマクロファージの泡沫化、血管平滑筋細胞の遊走・増殖、細胞外マトリックス(コラーゲン等)の産生に対して、上記4種類のペプチドは有意に抑制した。 2. 動物実験 (in vivo)ー新規ペプチドを生体投与して動脈硬化が予防出来る事を実証:動脈硬化モデル動物のアポE欠損マウスに上記4種類の新規ペプチドを各々4週間投与したところ、大動脈における動脈硬化病変の進展は有意に抑制された。 3. 臨床研究ー実際の冠動脈疾患患者における新規ペプチドの関連・意義を検討:虚血性心疾患患者の病理解剖にて冠動脈硬化病変内でのOmentin-1およびTSG-6の発現量はともに増加していた。これは、動脈硬化を抑制するためにOmentin-1またはTSG-6が一過性に産生増加しているものと示唆された。 以上から、Urocortin-1、Omentin-1、TSG-6、Neopterinは抗動脈硬化作用を示し、冠動脈硬化症に対するNegative Risk Factorであることが判明した。来年以降、冠動脈疾患患者、主に急性冠症候群患者において上記ペプチドの血中濃度を測定し、冠動脈硬化症を反映するバイオマーカーになる可能性を検討する。よって、循環器領域における臨床的貢献が高いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した研究体制および進行計画に忠実に則って、分担して効率良く研究が遂行された。しかし、臨床研究の部分に関しては、症例収集に時間を要して出遅れている感がありますが、おおむね想定内である。逆に、細胞実験や動物実験は計画より進行しているため、全体で言えば、実施計画はおおむね順調に進行していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は臨床研究を基盤に、新規ペプチドのUrocortin-1、Omentin-1、TSG-6、Neopterinを用いた冠動脈疾患のバイオマーカーの有用性の検討、並びに同ペプチドを利用した同疾患に対する予防・治療薬の開発(創薬)を堅実に遂行していく。 1. 新規ペプチドの冠動脈疾患のバイオマーカーとしての有用性を検討:急性冠症候群患者200例および健常者30例において、Urocortin-1、Omentin-1、TSG-6、Neopterinの血中濃度および冠動脈造影所見の重症度との関連を詳しく解析する。更に、Receiver Operating Characteristics (ROC)曲線を描き、Area Under the Curve (AUR)を求め、冠動脈疾患に対するバイオマーカーとしての精度を比較検討する。また、上記4種類のペプチドのどの組み合わせが、冠動脈疾患を把握出来得る最も優れたバイオマーカーかも検討する。 2. 新規ペプチドの遺伝子多型と冠動脈疾患との関連を検討:SNP 解析を行い、新規ペプチドの遺伝子多型が冠動脈疾患発症に関わる候補遺伝子であるか否かを検討する。 3. 新規ペプチドを利用した動脈硬化治療薬の開発(創薬):Urocortin-1、Omentin-1、TSG-6、Neopterinを利用して、抗動脈硬化作用の活性中心を含みかつ副作用の無い低分子アナログ(ミメティック)を精製し、動脈硬化治療薬の開発を進めていく。
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Causes of Carryover |
昭和大学病院循環器内科の木庭講師に30万円を分担金として割り当てていたが、今年度は冠動脈疾患患者および健常者の選別に難航したためノミネートだけに留まった。格段に早ければ、ノミネート後に採血してOmentin-1、TSG-6、Urocortin-1、Neopterinの血中濃度を測定しようと、早々と分担金を使えるようにしてあったが、実際に採血するのは来年度以降になった。特段、研究計画に遅れが生じているわけではなく、想定内である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
冠動脈疾患患者200例および健常者50例から採血するためのディスポの注射器、翼状針、血漿分離容器、駆血帯等を購入する。また、血漿の分取および保存のために必要なディスポのスポイド、チューブを購入する。
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Research Products
(5 results)