2014 Fiscal Year Research-status Report
合成ペプチドを用いたHHV-6A、HHV-6B特異抗体測定法の開発
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26460661
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
東本 祐紀 藤田保健衛生大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20569701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 喜彦 藤田保健衛生大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (00387713)
井平 勝 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 教授 (10290165)
杉山 博子 藤田保健衛生大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (10387714)
加藤 友理 藤田保健衛生大学, 医学部, 研究員 (70726968)
吉川 哲史 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (80288472)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ウイルス学 / 分子生物学 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
Human herpesvirus 6 (HHV-6) は、現在2種類の種(species)(HHV-6AとHHV-6B)に分けられている。HHV-6Bは小児の一般的な熱性発疹症である突発性発疹症(突発疹)の起因ウイルスであることが明らかになっているが、HHV-6Aの初感染臨床像、血清疫学はともに不明なままである。我々はこれまで、イムノブロット法にてウイルスに特異的な抗原蛋白が各ウイルスに対する特異抗体と反応することを証明した(J Clin Microbiol. 2012 50:1245-51)。本研究では宿主免疫の標的となり、且つ2種類の種間で相同性の低い遺伝子領域で合成ペプチドを作製し、それらを抗原としたELISA法による抗体測定系を確立することを目的とする。 HHV-6のゲノム全体の相同性は約95%であることから、我々はHHV-6A, B間で相同性の低い(identity:80.1%) U11遺伝子領域を選択した。さらに蛋白の立体構造解析から細胞表面に現れていると推定される箇所を選択しHHV-6A特異的ペプチド10種類、HHV-6B特異的ペプチド10種類、HHV-6A、B共通ペプチド5種類の合計25種類を作製した。 ELISA法の条件設定として突発疹(ES)および薬剤性過敏症症候群(DIHS)のペア血清を使用し、血清希釈倍率を100倍、500倍、1000倍の3段階で、発色試薬添加後の反応時間を3分および30分の2段階で検討を行った。その結果、100倍希釈の血清を使用し、発色時間は30分で行うことで最も吸光度差が大きくなることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26、27年度の2年計画として、①合成ペプチドの作製、②ELISA法の条件設定、③合成ペプチドに対するキャリア蛋白の付加を予定している。そのうち①、②について平成26年度で実施しており概ね順調に進んでいる。 ①合成ペプチドの作製については、前述してあるようにU11遺伝子領域からHHV-6A特異的ペプチド10種類、HHV-6B特異的ペプチド10種類、HHV-6A、B共通ペプチド5種類の合計25種類を作製した。HHV-6Aの同領域内には、HHV-6Bで欠損しているアミノ酸配列があるため、その欠損個所を第一候補として選択した。 ②ELISA法の条件設定については、1次抗体で使用するESおよびDIHSペア血清の希釈倍率の設定、および発色試薬での発色時間の検討を行った。その結果、血清100倍希釈、発色時間30分で最もペア血清で吸光度の差が大きくなることが分かった。今後は抗原側の条件設定、つまり合成ペプチドをELISAプレートに固相する際の濃度を検討する余地はあると考えられる。 平成27年度は抗原側の濃度を振ってELISA法の条件設定、さらには③合成ペプチドに対するキャリア蛋白の付加を行い、さらなるELISA法の高感度化を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、引き続きELISA法の条件設定を検討する。さらに条件設定が整い次第、非特異的反応がなく、HHV-6A、HHV-6Bに特異的に反応した合成ペプチドについて、キャリア蛋白の付加を行う。合成ペプチドのN末端側もしくはC末端側にKLH (Keyhole limpet hemocyanin) あるいは、BSA (Bovine Serum Albumin) などのキャリアタンパク質に結合させ立体的にELISAプレートへ結合させることで、感度、特異度の向上を図る。 最終的には合成ペプチドを用いたELISA法により、まずは本邦での血清疫学調査を実施したうえで、国際共同研究により特にHHV-6Aの血清疫学を実施し、HHV-6A感染疫学の地域性について解明する。そのためにまずは本邦の年齢別血清の収集を開始したい。初感染像を解明するために、0歳から5歳まで1歳刻みに収集、その後は5歳刻みに年齢別血清を収集する。各年齢20~30検体の血清について測定する。その後、ELISA法によるHHV-6 A血清疫学調査を実施する。
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Causes of Carryover |
本研究において、平成26年度は概ね順調に計画が進んでいる。しかしながら、ELISA法の条件設定は、血清希釈倍数の設定と、発色試薬の反応時間の検討しかできなかった。そのため詳細な部分については検討出来ておらず、当初の予定よりもELISA法の試薬代が安価になってしまったため、次年度使用額が生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年においては、平成26年度で実施出来なかったELISA法の条件設定について詳細な部分まで詰め、さらには特異的に反応した合成ペプチドについてキャリア蛋白の付加を行う予定である。そのため予算通り研究を遂行できると考えている。
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