2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26460676
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高野 徹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00263236)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Flow Cytometry / 幹細胞 / 癌幹細胞 / mRNA / SPIA |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の予定としてはバセドウ病および甲状腺腫瘍にて手術摘出した組織の一部を採取して、組織を酵素処理し、単一細胞を作成(細胞発現ライブラリー)して使用する予定にしていた。しかし、臨床検体の場合は細胞株からの検体に比較して、採取された時点での組織の状態が組織型や採取までの保存状態によりまちまちであり、それに応じて採取される細胞数、細胞分散の程度、FACSによって回収された細胞から抽出されたRNAの品質に大きな違いが出ることが予想された。実際、昨年検討したT7プロモーターを使用したRNA増幅法では、採取されたRNAの量が極端に少ない場合や、RNAの分解が進んでいる場合は、解析するのに十分な量の増幅が確認できないことがわかった。従って、FACS-mQによる臨床検体の解析を進める前にプロトコールの大幅な見直しが必要となった。 第一に、検体保存や蛍光染色において長時間の反応の過程ではRNAの分解を抑制するため可能な限り高濃度のdithiothreitolやRNase Inhibitorを加えることとした。 また、通常のRT-PCRによる遺伝子発現解析法では数十個程度の少数の細胞を使用した場合解析結果に大きな誤差が出ることがわかったため、T7プロモーター増幅法以外の何らかの手段による増幅過程の導入が必要となった。そこで、ある程度分解したRNAからでも均一な増幅が可能なSingle Primer Isothermal Amplification(SPIA)を検討し、T7プロモーターによる増幅が困難な検体からも良好な増幅結果を得ることができた。 mRNAをターゲットとした細胞染色の感度の向上も試みたが、蛍光色素の変更等のプロトコールの変更では明らかな感度の向上は認められず、今後の課題を残した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は今年度の時点で臨床検体の採取の過程に入る予定であった。しかし、従来のFACS-mQのプロトコールでは単一細胞の品質にばらつきのある臨床検体の解析には不十分であると判断し、条件の悪い検体でも解析が可能となるようプロトコールの本格的な見直しを行った。研究に遅れは生じたが、今後の臨床応用を考えた場合必要な検討であったと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床検体の採取を開始し、今回の検討で確立したFACS-mQのプロトコールが有用であることを実証する。また、臨床検体において興味ある細胞分画が確認された場合は、FACSにて細胞を回収して遺伝子発現プロフィールを解析して細胞群の同定を進める。 mRNAを使用したFACS-mQの感度向上については間接蛍光標識等まだ試みていない方法を検討していく。
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Research Products
(10 results)