2014 Fiscal Year Research-status Report
日本人由来株を用いた高感度ELISA法による猫ひっかき病特異抗体の検出と病態解析
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26460678
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
常岡 英弘 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40437629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大津山 賢一郎 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10432741)
柳原 正志 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40379954)
徳田 信子 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70227578)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | CSD / 猫ひっかき病 / ELISA / N-ラウロイル-サルコシン |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】本研究目的は猫ひっかき病(CSD)の病原菌で培養困難なBartonella henselaeに対する血清抗体価を高感度に測定できるELISA法の確立である。そのためにはまず、N-ラウリルサルコシン(サルコシン)抽出後のイオン交換クロマトグラフィ(DEAE)法による抗原精製が重要であることがわかった。今年度は抽出条件、およびゲル濾過法による精製、さらには菌液条件(固形培地・液体培地)について基礎的検討を行なった。 【方法】サルコシン抽出条件は固形培地(チョコレート寒天培地)上のB. henselae ATCC49882株コロニーについて検討した。すなわち5mMHEPES緩衝液(pH7.4)で作成した菌液を洗浄後、沈渣を各条件下(サルコシン濃度・温度)で抽出した。次いで、10,000rpm、30分間超遠心し、その沈渣を再び抽出し、この操作を繰り返した。各上清液をDEAE法およびゲル濾過法で精製後、各液についてCSD患者血清と健常人血清を用いてELISAで抗原性を比較した。一方、液体培地は37℃、3日間炭酸ガス培養後のB. henselae菌液について、固形培地コロニーの至適抽出条件下で抽出後、DEAE精製後、抗原性を検討した。 【結果と考察】固形培地由来B. henselae菌液からのサルコシン抽出は“37℃下で、0.1%サルコシン液で抽出後の沈渣を再度0.2%サルコシン液で抽出(2~3回)した上清液”が優れていることが判明した。この上清液をDEAE法(240-290mM NaCL)やゲル濾過法で処理することにより、その抗原の精製度が向上することが確認できた。また液体培地由来菌液抽出後のDEAE法による精製液は固形培地由来菌液のそれより精製度が高く、抗原としてより優れていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サルコシン液が低温下では白濁し、対応に苦慮したがおおむね順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)サルコシンに代わる抽出法の検討:サルコシン液は陰イオン系界面活性剤で低温化では白濁し、扱いがやや煩雑である場合が認められた。そこで両性界面活性剤(CHAPS)で同様に検討してみる。 2)固形培地と液体培地とで得た抽出液(サルコシン液あるいはCHAPS液)を精製し、これらを抗原としたELISAで多数の患者血清および健常人血清についてBartonella henselae抗体価を測定し、抗原の有用性を比較する。 3)2次元電気泳動後、ウエスタンブロット法で解析し、CSD患者血清と特異性が高い代表的な蛋白質を抗原液から選出する。選出したタンパク質スポットを切り出し質量分析によりタンパク質を同定する。
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Causes of Carryover |
本年度に参加を予定していた日本感染症学会には研究内容の特許申請中のため発表参加しなかったことから、旅費、参加費について未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
この使用額に関しては、平成27年度の学会への旅費、参加費と併せて使用する。
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