2015 Fiscal Year Research-status Report
腸管凝集性大腸菌の凝集関連因子の同定と新規検査法の開発
Project/Area Number |
26460681
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
藺牟田 直子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (00643470)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 順一郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (40295241)
大岡 唯祐 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (50363594)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | EAEC / aggR / biofilm / ESBL / CTX-M / O25:H4:ST131 / UPEC / AAF |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は2010年までの結果を論文にまとめ、現在投稿中である。2011年から2013年に収集した大腸菌計1280株を対象に、腸管凝集性大腸菌(EAEC)の検出、O血清群の決定、病原遺伝子分布状況をPCRで検索し、さらにbiofilm 形成能を検討した。その結果、EAEC(aggR遺伝子陽性株)の検出率は2011年6.2%、2012年2.8%、2013年4.7%だった。EAECの34.5%が繊毛AAF IIIを保有し、尿路病原性大腸菌(UPEC)の付着因子sfa 25.9%、pap 34.5%を保有していた。2011年以降sfa, pap遺伝子とESBL(CTX-M)遺伝子を保有する株O111 、O127が増加していた。本来強いbiofilm形成能を示すO111、O127でもUPECの付着因子を持つ株はbiofilm 形成能が弱い傾向がみられた。一方、CTX-M遺伝子の検出率は、2011年8.3%、2012年6.9%、2013年10.7%と増加していた。CTX-M型は14が54%、27が23%だった。CTX-M保有EAECは6株(0.5%)みられ、O111が5株、O127が1株、CTX-M型は14が多く、O127がAAF V、O111の5株がAAF IIIを保有していた。また、6株中5株がEAECの染色体上の病原遺伝子picとaaiCを保有していた。2003年から急に出現していたO25UPEC/EAECハイブリッド株は2011年以降みられなかった。CTX-M保有EAECの出現メカニズムは、2010年まではUPEC O25/ST131がEAECのplasmidとともにCTX-Mを獲得したものであったが、2011年以降はO111やO127などbiofilm形成能の強い従来のEAECがCTX-Mを獲得して新たに出現したことが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は2010年までの研究結果を論文にまとめる(投稿中)ことができ、さらに2011年から2013年までに鹿児島県で収集した大腸菌から新たにtypical EAECとCTX-M遺伝子を保有するEAEC株を検出することができた。その結果、2010年までのEAEC株と2011年以降の株では、保有している病原遺伝子やbiofilm形成能に変化が出ていることが分かり課題遂行にたいへん有意義であった。しかし、2011年以降に分離されたEAEC株のMLSA(multilocus sequence analysis)による系統解析など、さらなる解析が実施できなかったことが今年度の課題であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2011年から2013年までに検出されたEAECのMLSAやHEp-2細胞付着試験を行う予定である。また、2014年、2015年に収集された大腸菌840株についてもEAECならびにESBL産生菌をスクリーニングし、付着因子などの病原遺伝子やMLSAを行う予定である。EAECについてbiofilm形成能を検討し、O血清群や保有している付着因子の種類でbiofilm形成能が異なるかの検討を行う。2010年までと2011年以降でEAECの保有している病原遺伝子やbiofilm形成能、さらにEAECの薬剤耐性遺伝子保有に変化が起こっているため、その動向を継続的に検討し、新規付着因子の同定を目指しEAECの検査法の開発の基盤とする。
|