2014 Fiscal Year Research-status Report
骨髄異形成症候群から急性白血病への病型移行に関わる分子の探索
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26460691
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
通山 薫 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80227561)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 網羅的遺伝子解析 / 腫瘍関連遺伝子 / 造血障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes;MDS)は致命的な血球減少に加えて急性骨髄性白血病に移行しやすい予後不良の造血障害であるが、発症と病型移行の分子機構はほとんど未解明である。当研究者はMDS患者由来の細胞株およびそれから急性白血病への流れをインビトロで再現し得た複数の亜株を樹立した。本研究はこれらの細胞株を用いて全エクソンの塩基配列解析をおこない、ゲノムの変化を相互比較することによって病型進展に関わる遺伝子変異を探索するものであり、MDSの病態悪化の分子機構の一端を解明して、それを防止する新しい治療戦略への道を開くことを目的としている。 患者骨髄保存検体および初期培養細胞(凍結保存されている)と、それを元に樹立された6つの細胞株、計8つのサンプルからゲノムDNAを抽出して全エクソーム解析をおこない、点突然変異・挿入変異・欠失変異を網羅的検出を試みた。それらの中から(1)初期培養細胞の時点で既に見られ、以後の細胞株にも受け継がれている共通の変異、(2)MDS92の段階で出現し、以後の亜株に共通の変異、(3)MDS92の段階にはなく、以後の亜株の途中で獲得した変異を抽出する作業を現在おこなっており、その中に造血器腫瘍関連遺伝子変異として国際的な腫瘍体細胞変異カタログ(COSMIC)に登録されている変異があれば、それらを中心に病型進展に関与する候補遺伝子を探索・選出する方針で進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
8つのサンプルからゲノムDNAを抽出して全エクソーム解析をおこない、点突然変異・挿入変異・欠失変異の網羅的検出のデータベースは確保できた。次のステップとして、造血器腫瘍関連遺伝子変異として国際的な腫瘍体細胞変異カタログ(COSMIC)に登録されている変異を現在リストアップしている段階であり、ほぼ予定通りの流れで研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
関連遺伝子候補は数多く見出されつつあるが、特に重要度の高い、あるいは実際に意味のある遺伝子変異を絞り込む段階で、情報検索にあたってIT技術をうまく活用できるかどうかが大きな課題である。また特定の遺伝子変異については、細胞レベルに戻ってウェットの実験系での意義を検証する方向が必要となる。
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Causes of Carryover |
遺伝子解析費用が当初の予定よりは低めに抑えられたこと、それから細胞培養・遺伝子実験等をまだ本格始動していないために今年度使用額に若干の残額が出た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に細胞培養・遺伝子実験等を開始予定であること、また追加解析に費用が発生する可能性がある。
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Research Products
(10 results)