2016 Fiscal Year Annual Research Report
Search for the molecules involved in leukemic transformation of myelodysplastic syndromes
Project/Area Number |
26460691
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
通山 薫 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80227561)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 網羅的遺伝子解析 / 腫瘍関連遺伝子 / 造血障害 / 白血病移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes;MDS)は、急性骨髄性白血病に移行しやすい予後不良の造血障害であるが、発症と病型移行の分子機構には未解明の点が多い。本研究の契機となった細胞株MDS92は研究代表者が約20年前に樹立したが、この培養細胞株を継代中に、あらたな8つの亜株を樹立することができた。MDS92とその亜株は、MDSから急性白血病への流れをインビトロで再現した、世界で唯一の培養細胞モデルのラインアップである。これらの細胞株と、発端となったMDS患者骨髄細胞を用いて全エクソーム解析をおこない相互比較することによって、病型進展に関わる遺伝子変異を探索し、MDSの病型移行・病態悪化の分子機構の一端を解明すること、そしてそれを防止する新しい治療戦略への道を開くことが本研究の目的である。 これまでの解析の結果、CEBPA変異、N-RAS変異は元の患者骨髄細胞には存在せず、培養途上で出現し、それ以降各細胞株に受け継がれていることがわかった。またMDS92からMDS-Lへ移行する段階でHistone1H3C 変異(K27M)が検出された。この変異は小児脳幹腫瘍で報告があり、JMJD3阻害薬が有効とされているが、MDS-Lへの特異的抑制効果はインビトロでは明確でなかった。どの亜株にもEZH2には有意な変異が見出されていないが、ヒストン修飾の観点からさらに検討する価値がある。 増殖旺盛で成熟能を喪失した亜株の一つであるMDS-L2007のみにTET2フレームシフト変異が検出された。病型移行を考える上で示唆に富む所見である。 現在、全エクソーム解析から進んで個々の遺伝子レベルでの意義を考案している段階であり、今後さらに発展的な検索の余地が残されている。
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Research Products
(4 results)