2016 Fiscal Year Annual Research Report
The identification of signal pathways inducing the visceral pain of hollow organs and its application to the treatment of visceral hyperesthesia
Project/Area Number |
26460694
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
宮井 和政 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学研究科, 教授 (60283933)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ATP分泌 / 上皮組織 / 一酸化窒素 / cGMP / セロトニン / cAMP / 貯蔵量作動性Ca2+流入 / 管腔臓器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、①内臓知覚の出発点となる管腔臓器粘膜上皮からのATP分泌を制御するシグナル経路の役割を解明すること、及び②粘膜上皮からのATP分泌量と病的な内臓知覚(内臓知覚過敏)との関連を明らかにすることである。期間全体に渡る研究により、膀胱、食道、直腸の各粘膜上皮からのATP分泌を共通して抑制するシグナル経路(一酸化窒素(NO)-cGMP経路)、及び各器官により働きの異なるシグナル経路(PGE2経路、セロトニン経路)を同定した。本年度は特に、NO-cGMP経路の上流に位置すると思われる貯蔵量作動性Ca2+流入が、膀胱及び直腸の粘膜上皮からのATP分泌は抑制するが、食道では逆に促進することを明らかとし、食道上皮におけるNO-cGMP経路の上流シグナルは貯蔵量作動性Ca2+流入ではない可能性を示した。また、便意を誘発する圧刺激(20 mmHg)に応じた直腸上皮からのATP分泌を制御するシグナル経路のうち、貯蔵量作動性Ca2+流入-NO-cGMP経路だけは排便反射を誘発する圧刺激(50 mmHg)に応じたATP分泌も抑制することを明らかにした。この結果は、NO-cGMP経路が多種の器官上皮からの多種の刺激に応じたATP分泌を抑制する共通の経路であることを示唆している。 次に、ATP分泌が内臓知覚過敏とどのように関わっているのかを検討した。その結果、細菌感染による膀胱炎モデルでは膀胱上皮からのATP分泌が有意に増加すること、ATPシグナル経路がブロックされたP2X2/3受容体欠損マウスでは膀胱炎に伴う頻尿が生じないことを明らかにした。さらに、過敏性腸症候群モデルラット(WKYラット)では50 mmHgでの圧刺激条件でのみATP分泌量が増加することを示した。これらの結果は、粘膜上皮から分泌されたATPが特に病的な内臓知覚伝達において重要な役割を担っていることを示唆している。
|
Research Products
(1 results)