2015 Fiscal Year Research-status Report
疼痛疾患モデル一次性感覚ニューロンに認められるミトコンドリア異常の解析
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26460706
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
柴田 護 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60286466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 利彦 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40265799)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 片頭痛 / TRPV1 / オートファジー / HMGB1 / ミクログリア / Toll-like receptor / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、実際の慢性片頭痛に近い動物モデルの三叉神経領域感覚機能評価の確立を主目標にした。炎症スープ (セロトニン・PGE2・ブラジキニン)を硬膜に局所投与することにより炎症惹起による慢性片頭痛モデルを作成した。同モデルにおいて三叉神経第1枝領域に起こる感覚異常を、熱疼痛閾値の変化を指標に検出を試みた。当初はStoelting社のOrofacial Pain Assessment Device (OPAD)を用いた。これは、バーを押しのけるとミルクが飲めることで条件付けを行い、バーの温度を変化させることでwhisker pad付近の熱疼痛閾値を測定する系である。本法は解析ソフトと連動していて定量評価は可能であるものの、学習能力が結果に反映される。TRPM8KOマウスでは条件付けが野生型と比較して不良であることが判明した。そのため、独自で開発した頭部固定装置にマウスを設置した後に、Peltier素子による可変温度パッドをwhisker padに押し付けてマウスに誘発されるのけ反り行動をビデオ解析することによって学習によらない感覚評価法を確立した。これと並行して、同動物モデルの三叉神経節と脳幹を摘出し、電子顕微鏡によるミトコンドリア形態変化観察を進めている。さらに、本年度は皮質拡延性抑制 (CSD)によるニューロンからのHMGB1 (high-mobility Group Box 1)の放出が、CSDの回数依存的に高まることを明らかにした。さらに、放出されたHMGB1はミクログリア上に存在するTLR2/4に作用して関連シグナル伝達機構であるMyD88とIRAK4を活性化して、ミクログリア肥大を引き起こすことを明らかにした。肥大ミクログリアでは、リソソーム加水分解酵素カテプシンDの発現が上昇していた。電子顕微鏡観察によりオートファジーの関与についても解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物モデルの評価法について、前述のように遺伝子改変マウスの解析に困難を感じていたが、解決した。電子顕微鏡観察用のサンプル作成も順調に進んでいる。 CSDによる大脳皮質ニューロンからのHMGB1放出がミクログリアの形態変化を引き起こす原因になっていることを明らかにして、当該分野に権威あるジャーナルCephalalgiaとJ Cereb Blood Flow Metabに論文を発表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
頭痛モデルの三叉神経感覚異常の経時的変化を明らかにする。 電子顕微鏡による三叉神経節ニューロン細胞体と三叉神経脊髄路核における三叉神経一次と二次ニューロン間でのシナプスにおけるミトコンドリアの形態変化の観察を継続する。 CSDによって活性化されたミクログリアにおける病態上の意義について解明を進める。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況の関係から使用が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度以降に使用予定。
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Research Products
(8 results)