2014 Fiscal Year Research-status Report
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26460730
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 敏秋 岩手医科大学, 医学部, 助教 (20438500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
世良 耕一郎 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00230855)
小笠原 邦昭 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00305989)
米澤 久司 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (20240377)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | PET / SUV |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度はデレンゾファントムを作製しPETにおける分解能について検討した。このデレンゾファントムは汎用性の円柱プールファントムにインサートとしてデレンゾファントム(直径3.5, 4.0,4.5,5.0,5.5,6.0mmの円柱ホット)を組み込むこととした。しかし、汎用性のプールファントムはその使用に際してRIを多く必要という欠点があり、ファントムに対して加工が必要であった。そのためデレンゾファントムの完成は年度を越えてしまい、PETの空間分解能の評価実験は5回程度にとどまった。結果はがんFDG撮像法ガイドラインの腫瘍の基準であるFDG濃度を2.65KBq*4.0/mlとした場合、直径5.0,5.5,6.0mmは描出可能であった。他の4.5mm以下の直径についての描出は画像再構成法とそのフィルターにより異なっていた。しかしどの画像再構成法をもってしても直径3.5mmについてはその存在を画像として捉えることはできなかった。本来の目的であるPET装置は何ミリまで見えれば良いのかという問題に関してはファントムの使用濃度を段階的に変化させる必要が有ること、更に周囲のバックグランドの濃度にも影響されるためこれらの期間で体系的に評価することが困難であった。しかし結果から2.65KBq*4.0/mlの場合には直径5.0mmは描出可能と確認された。別の濃度においても今後実験し、視覚評価とSUVによる評価も検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ここまでの本研究の目的は、PET装置は通常の臨床においてどの程度の腫瘍の大きさまで検出可能かを追求することにある。そこで平成26年度はデレンゾファントムを作製しPETにおける撮像可能な腫瘍の大きさを検討するため分解能ファントムを使用し、その描出能について検討した。腫瘍の検出は最終的には医師によるものと考えられるが腫瘍周囲のRI濃度にも影響する。そのため細長い直径3.5-6.0mmの長さ88mmの管にFDGを封入し、データ収集を実施した。がんFDG撮像法ガイドラインにおける基準濃度ではおよそ、直径5.0mmまでが腫瘍として検出可能限界であった。しかし、デレンゾファントムは細長く、またホット部の周囲にRIが存在しないためその視認性は通常の臨床よりも容易と考えられる。したがってこれががんFDG撮像法ガイドラインの基準濃度における腫瘍発見の限界と言える。実際の腫瘍はその形状が球形に近いと考えられ、周囲にはRIが存在し、散乱線も発生する。このことから今後はファントムの形状が球形のものを使用し、周囲と想定される腫瘍の大きさごとにRI濃度の異なる量を検討中する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は平成26年度の実験に加え、NEMA IEC BODY ファントムの線源調整時間を限りなく減少させる予定である。この調整時間の減少は実験者の被ばくを減少させるとともに、少ないRI量でのファントム実験が可能となる。そのため実験回数とPETの臨床への応用実験が増加することとなり、結果的にPETの描出能、画質がよくなると期待される。このファントム実験で最も時間を有するところは線源の球体インサートへの封入である。現在の方法はNEMA IEC BODY ファントムに水を1/4流し、必要なRIを投入し撹拌の後インサート球へ入れるため約50mlを抜き取る。その後にNEMA IEC BODY ファントムは通常の水で満たす。これをバックグランドへの封入分、球への封入分と分離することで線源調整の時間短縮可能となることをこれまで示してきた。しかし、この方法においてもインサート球へのRI封入に時間を要することを経験している。そこでインサート球をすべて連結させポンプでRIを装填する方法を計画中である。これで問題となるのはRI装填時のインサート球の連結となる。インサート球はその直径が10,13,17,22,28,37mmの6種類あるがそれまでにおよそ1mmの細い管を通して装填する構造である。これらを連結させる場合はこの1mmの中でRI封入と他の球へのRIの移動を可能とする必要がある。市販品のチューブにこれらの目的に合うものは存在しない。そこでそれらを早急に考案、作成する必要に迫られている。
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Causes of Carryover |
ファントム作製をメーカに依頼したが、既存のメーカより安く購入可能となった。既存のメーカに依頼しなかった理由はファントムに汎用性をもたせることで現在実施している研究を更に掘り下げることが必要となったことによる。汎用性ファントム自体に既存のものと優劣はなくその使用に問題はなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ファントムに汎用性をもたせたため平成27年度はファントムインサート球を購入予定である。平成26年度購入したファントムは直線の円柱ホットファントムであった。その直径は3.5mmから6.0mmである。しかし腫瘍の検出を目的とした場合は球のファントムで検討する必要にも迫られる。この球の検出を目的とすることでPET装置は通常の臨床でどの程度まで見られれば臨床機器として有用なのかがわかり現在どの大きさの腫瘍まで検出可能であるかを明確に把握することが可能となる。ファントム球は直径1.0,3.0,5.0mmを計画しており、その封入するRIの濃度をがんFDG撮像法ガイドラインの基準濃度である2.65Kbq*4とバックグランドとの比率がどの程度であれが検出可能かを見るためにバックグランドの濃度を2.65KBq/mlに対し1.0,0.8,0.5,0.3の比率で実施するよ予定である。
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