2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26460740
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Research Institution | Tokai Gakuin University |
Principal Investigator |
勝田 稔三 東海学院大学, 人間関係学部, 教授 (40379722)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ラジオクロミック フィルム / 紫外線 / 不均一補正 / 放射線計測 / 放射線診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
フィルム型線量計(Rフィルム)の反応層厚の不均一を濃度の不均一として表出させ,放射線計測後に差分する方法で解決する研究である.不均一の表出方法として,計測前にRフィルムに紫外線を均一照射し,透明な反応層に着色する.この画像データを,本照射を行った後,画像処理としてデータの差分(雑音除去)を行い,実照射のみの濃度変化を表出し,高精度かつ高分解能な線量計測方法を実現する. 4種類のRフィルムに対して,最も効率の良い紫外線周波数の決定に関わる研究として,UV-A (365 nm),UV-B (310 nm)およびUV-C (245 nm)の紫外線を照射し,Rフィルムの反応を評価した. その結果,EBT2フィルムでは表面と裏面の反応が異なり,表面は三種の紫外線とも,ほぼ反応が無い状態であった.しかしながらEBT-2の裏面とEBT-3の表および裏面はUV-AとUV-Bにほぼ同等の反応を示した.具体的にはEBT-3の表への360分のUV-A, UV-Bおよび UV-Cの照射で濃度の平均値 ± SD は8290.66±128.078,8198.057±138.353および957.166±126.90であった. また,XR-SP2とXR-RV3は,紫外線防護層があり,紫外線の反応は低い物であったが,長時間の照射により,十分な評価が可能な反応を示した.XR-RV3に600分のUV-A, UV-Bおよび UV-Cの照射を行ったところ,濃度の平均値 ± SD は 1743.886±169.024 (UV-A), 630.381±111.107 (UV-B) および663.859±104.951 (UV-C)であった.一方,XR-SP2では,754.137±148.833 (UV-A), 227.941±119.114 (UV-B)および469.898±159.919 (UV-C)であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に使用したフィルム型線量計(Rフィルム)は市販されており,入手は容易であったが,これらのフィルムに照射する紫外線を発生する紫外線ランプの入手について,特にUV-Bを発生する手ごろで10W程度の物を入手するのに比較的困難であった.他の実験機器・材料についてはすでに所有していたものを使用したので,費用について不足することはなかった. また,紫外線を照射する照射領域の確保については,書籍棚の一部を紫外線カットアクリルで覆い,紫外線照射領域とし,その領域から紫外線が外に漏れないよう工夫して照射を行ったため,24時間の連続照射が可能であった. Rフィルムの紫外線の種類に対する感度を評価したところ,UV-A(365 nm)の紫外線が最もよく反応した.この結果により,次年度の研究が遅滞なく進むと考えられる.Rフィルムの紫外線に対する反応は4種類それぞれ異なっていた.EBT2とEBT3は強く反応し,一回の実験は24時間程度で行えたが,RV3とSP2は表面が紫外線防護の形態をとっていたため,ほぼ反応が無い状態であり,長時間の紫外線照射を必要とした.このため,紫外線の照射だけで数か月を要した. これらのRフィルムをスキャナーで画像として取り込む方法として,今回新たにRフィルムをアクリルプレートに固定し,実験終了までの数回の紫外線照射とスキャンを行ったため,スキャン位置の再現性が優れたものとなった.また,画像化したデータの解析には長時間を要したが,おおむね達成できたといえる. 本結果はカナダで開催される医学物理関連の国際学会に関連研究とともに発表する(すでにアクセプトされている).また,本研究の一部は米国の医学物理関連の研究雑誌に掲載が決定している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究結果をふまえ,決定された紫外線周波数(UV-A)に特化した小型の紫外線ランプを配置し,均一性を考慮した紫外線照射装置を用いて研究を進める.各Rフィルムに対応する小型紫外線ランプの照射強度は一定ではなく低下していくので取り替え可能とする. UV-Aの照射量は単位時間当たり0.091 mW/cm2であった.すべてのRフィルムを紫外線照射前と紫外線照射後にエプソンスキャナーES10,000を用いスキャンを行い画像として取り込む.取り込んだ画像はその都度同一場所のプロファイルカーブを描画し,その位置での最小値を信号値とし,最大値と最小値の差を雑音として局所的な信号雑音比を求める.これにより,均一性の向上を行う. また,各Rフィルムを配置し,最適な照射量を決定する.信号雑音比の変化も求めるので,一回照射量をできるだけ少ない照射量にし,複数回の照射を行い,照射毎に信号雑音比を求める.この繰り返しをRフィルムの濃度と信号雑音比の関連が最適と言えるところを超えるまで繰り返す.これにより最適な一回照射量を決定する. 本研究では紫外線ランプ(蛍光灯の一種)を用いるため,紫外線の発生スペクトルの幅が広い事と,長時間の照射で照射強度が減弱し,一定でないところに問題が発生する.この問題を解決するために,紫外線ランプの替わりに紫外線LEDを用いることを企図し,使用の可能性について試験をした結果問題なく使えることが判明した.紫外線LEDは紫外線発生強度は紫外線ランプより少ないが,紫外線スペクトルの幅も狭く,発生波長も353nmから410nmの種類があるため,上記研究は紫外線LEDを用いた方法においても行うつもりである.
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Causes of Carryover |
消耗品の購入に予定していたが,期限内に購入できなかったため,次年度使用額4,015円が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品の購入に充てる.
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