2014 Fiscal Year Research-status Report
肥大型心筋症全例登録による発症と予後に関与する要因および治療法解明に関する研究
Project/Area Number |
26460742
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
藤野 陽 金沢大学, 保健学系, 准教授 (40361993)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 研至 金沢大学, 大学病院, 助教 (00422642)
山岸 正和 金沢大学, 医学系, 教授 (70393238)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 肥大型心筋症 / 遺伝子解析 / 不整脈 / 突然死 / 収縮不全 / 次世代シーケンス / 倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥大型心筋症は若年者突然死の原因として最も頻度が高い特発性心疾患であり、一部の症例は中年以降に収縮不全を呈して心不全を合併する。研究代表者らの研究成果として、遺伝子解析により収縮不全合併症例をある程度予測可能とした。しかしながら個々の症例に関しては収縮不全増悪の完全予測について不明な点も残存し、かつ致死性不整脈出現予測は依然として困難である。本研究の目的は、① 肥大型心筋症例の全例登録を行い遺伝学的および臨床的なパラメーターを記録し、経過追跡により将来の心不全合併や致死性不整脈合併を予測可能とすること、② 予測し得た患者について、病態増悪を治療・予防すること、③ 次世代シーケンサー使用により、迅速かつ広汎に遺伝子解析を施行しつつ、新規の肥大型心筋症原因遺伝子を検索すること、である。 平成26年度は症例登録を目的として、課題:「北陸肥大型心筋症登録観察研究」を金沢大学医学倫理審査委員会に申請し、平成27年3月18日付で「条件付き承認」を受けた。同倫理審査委員会から提示された条件について、同年3月31日の段階で対応中である。並行して、平成26年9月30日付で金沢大学ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査委員会にて承認された、課題:「遺伝性心血管疾患における集中的な遺伝子解析及び原因究明に関する研究」の計画書に則り、肥大型心筋症患者の遺伝子解析を進めている。候補遺伝子としては、肥大型心筋症の原因遺伝子として確立したサルコメア遺伝子の他、心臓突然死の原因遺伝子として確立した心筋リアノジン遺伝子等のカルシウム関連遺伝子である。本課題は、次世代シーケンスに対応済である。平成26年度の段階で、平成27年度に施行を予定していた次世代シーケンスを、Target re-sequencingを中心として、前倒しして施行を開始しつつある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
課題:「北陸肥大型心筋症登録観察研究」について、下記の内容を中心として研究計画書を作成し、同時に肥大型心筋症例への説明・同意書を作成して金沢大学医学倫理審査委員会に申請、平成27年3月18日付で「条件付き承認」を受けた。具体的には、現在までのいずれかの時点で肥大型心筋症(心エコー図検査にて左室壁厚が13mm以上で、他に心肥大をきたす全身性疾患や心疾患を認めない)と診断されるか、または遺伝子解析により肥大型心筋症の素因となる遺伝子変異が確定された症例を対象としている。目標症例数は500例で、試験デザインは多施設共同登録観察研究である。 並行して、平成26年9月30日付で金沢大学ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査委員会にて承認された、課題:「遺伝性心血管疾患における集中的な遺伝子解析及び原因究明に関する研究」の計画書に則り、肥大型心筋症患者の遺伝子解析を進めた。当初の計画以上に進展していると判断した理由は、平成26年度の段階で、平成27年度の施行を予定していた次世代シーケンスを開始した点である。具体的には、Target re-sequencingを行った。検索した遺伝子は、ACTC1、MYBPC3、MYH6、MYH7、MYL2、MYL3、TNNC1、TNNT2、TNNI3、TPM1を含むサルコメア遺伝子、および心筋症や致死性不整脈と関連するLAMP2、PLN、PRKAG2、RYR2、CALR3等である。対象は、現時点で原因と考えられる遺伝子変異が未検出の心筋症発端者19名である。平成27年3月31日の段階で対象者の遺伝情報をインターネットに接続していないパーソナルコンピューター上に入手し、原因遺伝子変異を解析中の段階である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27~28年度の2年間をかけて肥大型心筋症例の全例登録を行い、各症例の診療を継続しつつ、臨床経過の追跡調査を行う。具体的には、①自覚症状:NYHA、②身体所見:収縮期・拡張期血圧・心拍数、③臨床検査:BNP(またはNT proBNP)・Hb・総ビリルビン・BUN・クレアチニン・尿酸・Na・K、④心エコー:左室拡張末期径・左室収縮末期径・左室駆出率・心室中隔壁厚・左室後壁厚・左房径・左室流出路圧較差・心尖部肥大・僧帽弁逆流、⑤核医学検査(任意検査)、⑥薬物治療:ACE阻害薬・ARB・β遮断薬・ループ利尿薬・サイアザイド系利尿薬・アルドステロン拮抗薬・ジギタリス・Ca拮抗薬・I群抗不整脈薬・アミオダロン・ワーファリン、⑦非薬物治療:PPM・ICD・CRT-P・CRT-D・PTSMA・外科的心筋切除術(施行時期も)、⑧心血管イベント:(発症から登録時までの期間に生じたイベント)、心不全増悪による入院、心血管疾患による入院、致死性不整脈(持続性心室頻拍、心室細動)、ICD作動、心臓移植、⑨原因遺伝子変異について、登録時に評価する。その後、全死亡、心血管死(心不全死、突然死、脳卒中死)、非心臓死、心不全増悪による入院、心血管疾患による入院、致死性不整脈(持続性心室頻拍、心室細動)、心房細動の出現、ICD作動、補助人工心臓、心臓移植の施行について、1年毎に追跡調査を続ける。 同時に、次世代シーケンスによる病因遺伝子変異の解析を継続する。この過程で得られた知見については、国内・海外の学会で発表しつつ、学会では心筋症や遺伝子解析に関する最新の知見を収集する。並行して、得られた知見とデータをまとめて論文を作成する。
|
Causes of Carryover |
購入を予定していた消耗品の代金が、予定の金額を超えていたため、今年度内の購入を断念して残金を次年度に繰り越した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
購入を予定していた消耗品を、次年度に購入する予定である。
|
-
[Journal Article] Increased extent of myocardial fibrosis in genotyped hypertrophic cardiomyopathy with ventricular tachyarrhythmias2015
Author(s)
Fujita T, Konno T, Yokawa J, Masuta E, Nagata Y, Fujino N, Funada A, Hodatsu A, Kawashiri MA, Yamagishi M, Hayashi K
-
Journal Title
J Cardiol
Volume: 66
Pages: 63-68
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Fragmented QRS Predicts Heart Failure Progression in Patients With Hypertrophic Cardiomyopathy2014
Author(s)
Nomura A, Konno T, Fujita T, Tanaka Y, Nagata Y, Tsuda T, Hodatsu A, Sakata K, Nakamura H, Kawashiri MA, Fujino N, Yamagishi M, Hayashi K
-
Journal Title
Circ J
Volume: 79
Pages: 136-143
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-