2014 Fiscal Year Research-status Report
多変量解析の不適切利用是正に向けた医学論文サーベイランスおよび研究者支援策の立案
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26460764
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野島 正寛 東京大学, 医科学研究所, 特任講師 (00457699)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 医学統計 / 多変量解析 / 統計教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究進捗状況は以下の通りである。まず,研究対象とする学術誌を以下のとおり選定した。(1). Thomson Reuters社のJournal Citation Reportsに収載されている学術誌の全176カテゴリーより臨床医学および疫学に関連するカテゴリーを選択。(2). 該当する学術誌を,それぞれのImpact factor (IF) に応じて,IF 2未満, 2以上4未満, 4以上5未満,6以上に層別化。(3). 年間のArticle数が200を超えているジャーナルを選択。(4). IF6点以上の学術誌を全数抽出することとし(71誌,全体の11.7%),これと同数の抽出を行うことができるよう他の層の抽出率を設定(全体から無作為に抽出した場合,良質な研究の抽出が少なくなる恐れがあるため)。(5). (4)で設定した抽出率に従って,ジャーナルの選定を行った. 続いて,選定されたジャーナルより研究対象とする論文の抽出を以下の通り行った。(1) 出版された時期については,2009 年1月から2014年9月の5.5年間とし,”hazard”という検索後により,hazard ratioの推定を行っている論文を抽出した。これは,生存時間分析を行っている論文を全て抽出しようという意図である。(2) Clinical trialの場合,多変量解析は行われていない場合が多いため,タイトルにtrialという後を含む論文を除き,11726論文を抽出した。(3) 解析論文数として2000を目標としさらに抽出を行うため,閲覧が不可能な論文が含まれている可能性があるため抽出数が2500~3000となるようランダム抽出を行った。論文数が少ないジャーナルは抽出率を高く,多いジャーナルは抽出率が高くなるようべき乗変換による傾斜をかけている。以上の手順により,論文の抽出を終えており今年度は実施されている多変量解析について検討を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
生存時間解析については,予定していた論文抽出作業を終えており次年度以降は具体的な解析作業となるが,一方のカテゴリカル解析(ロジスティック回帰)については関連する論文の抽出を引き続き行う必要がある。また,平成26年度予定していた作業の半分が抽出率や検索語などを予定と変更した点などがあるため,「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,研究計画書で予定しているデータベースの構築を行い,本研究の主たる検討項目である,多変量解析における変数選択および結果の解釈,という2点について重点的に検討を行う。具体的には,多変量解析の実態について複数のカテゴリーに分類し,それぞれの頻度および信頼区間を推定する。各分類のうち不適切な手法・解釈と判断されるものについて,概要と傾向をまとめる。分類が複雑化するようであれば,クラスタリングや因子分析,テキストマイニングなどのデータマイニング手法を適宜用いる。ここまでの検討が終了した段階で,学術集会等で研究経過を報告し専門家の意見を募る。
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Causes of Carryover |
平成26年度は,生存時間解析については予定通り論文抽出が終了しているが,カテゴリカル解析(ロジスティック回帰)に関連する業務は進んでおらず,その分の謝金が発生しなかった。また,既に保有している機器およびソフトウェアを継続して使用していたため機器の購入費用が支出されなかったほか,学会発表等が可能な段階まで研究が進捗していなかったため出張費なども発生しなかった。平成27年度は,以上の支出が今年度分に加え発生する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未購入の機器の購入や,統計ソフトウェアの購入・更新等に使用する予定である。また,研究のスピードアップを図るため,フルタイムの研究補助員を雇用するため,人件費などにも充てる予定である。
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