2016 Fiscal Year Annual Research Report
A prospective study on the association between declined autonomic nervous system function and onset of diabetes
Project/Area Number |
26460767
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
斉藤 功 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (90253781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 加奈子 愛媛大学, 教育学部, 研究員 (20510283)
加藤 匡宏 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (60325363)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 疫学 / 糖尿病 / 自律神経系機能 / 心拍変動 / メタボリックシンドローム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は自律神経系機能の低下と耐糖能の悪化、もしくは糖尿病発症との関連を前向きに検討することを目的とした。愛媛県T市において、2009年から4年間かけて実施したベースライン調査対象者2032名に対して、75gぶどう糖負荷試験を実施し、心拍変動とインスリン抵抗性ならびに感受性との関連をみた。平成28年度は、メタボリックシンドロームに及ぼす心拍変動の影響ならびに5年間の累積糖尿病発症率に及ぼす心拍変動の影響についてのコホート研究を実施した。心拍変動は5分間の脈波から時間領域の指標(SDNN、RMSSD)と周波数領域の指標(LF、HF、LF/HF)を用いた。インスリン抵抗性はHOMA-IRを、インスリン感受性はGuttのISIを算出した。 多重ロジスティック回帰分析を用いて分析を行ったところ、第4四分位のSDNN、RMSSD、LF、HFは、第一四分位の群と比較して、メタボリックシンドロームに対するオッズ比を有意に低下させた。さらに、RMSSD、HF、LF/HFは、HOMA-IRやインスリン感受性の指標を調整してもメタボリックシンドロームと有意に関連した。高LF/HFは高HOMA-IRあるいは低ISIとメタボリックシンドロームに対して有意な相加作用を示した。ベースライン時点で糖尿病のない対象者1001名を5年間追跡し、新たな糖尿病発症と心拍変動の低下との関連を検討したところ、心拍変動の低下群で発症率が高くなる傾向はあったが、多変量解析では有意にならなかった。 HFの低下とそれに伴うLF/HFの上昇は、インスリン抵抗性あるいは感受性の低下とメタボリックシンドロームとの関連を修飾している可能性がある。本研究における相加作用の検出は、心拍変動の低下がメタボリックシンドローム出現の原因になっている機序を示唆している。
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