2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26460779
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
木庭 新治 昭和大学, 医学部, 准教授 (20276546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 裕哉 昭和大学, 医学部, 助教 (00465105) [Withdrawn]
正司 真 昭和大学, 医学部, 講師 (50384392)
角田 史敬 昭和大学, 医学部, 講師 (60384393)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アミノ酸 / 脂肪酸 / 食事 / 急性冠症候群 / 心不全 / 栄養 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の調査で、急性冠症候群(ACS)患者は94人(男性83人)と健康男性25人を比較し、ACSで必須アミノ酸が有意に低く、特に、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジンが有意に低値であった。脂肪酸組成では多価不飽和脂肪酸のアラキドン酸(AA)は両群で同等、ACSでエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)を併せたω3系多価不飽和脂肪酸濃度が有意に低値であった。必須アミノ酸が低値であったことから、食事摂取頻度調査票(DHQL)をACSと心不全の救急入院患者で実施した。必須アミノ酸および脂肪酸の一部の血中濃度の低下が①食事からの摂取不足によるものか代謝異常によるものかを評価することと②治療後の回復期に必須アミノ酸および脂肪酸がどのように改善しているかを評価することが本研究の目的である。そのためACSおよび心不全発症直前1ヶ月間のDHQLの結果と血中脂肪酸・アミノ酸濃度との相関を検討した。ω3系多価不飽和脂肪酸濃度は食事からの推定摂取量と有意な正相関を示した(EPA: ρ0.634, p<0.0001、DHA: ρ0.431, p<0.05)。一方、トリプトファンは食事からの推定摂取量とむしろ有意な負相関を示した(ρ-0.638, p<0.05)。従って、トリプトファンの血中濃度の低下は、必須アミノ酸としての摂取不足ではなく、むしろ代謝障害を示しているものと推察した。 トリプトファンの代謝物を評価するため、高速液体クロマトグラフィー質量分析により、トリプトファンの代謝物の測定を試みている。その結果、ストレスや炎症などによるトリプトファンの代謝障害がACSの発症に関連している可能性が示唆された。この知見を多数例での解析で確認することが本研究の概要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
この研究分野の情報収集を文献検索および国内外の学会で行った。本年度は前年度に引き続き発症時と治療6ヶ月後に血液検査とDHQLを実施した。現在までに急性冠症候群(ACS)患者およびうっ血性心不全患者述べ422例の血中アミノ酸38分画および全脂肪酸分画の測定を行った。DHQLによる食事摂取頻度調査はACS患者163例、心不全患者39例で実施したが、調査票の未記入による脱落例20例を除外したACS患者150例と心不全患者23例で分析した。この中の53例では6ヶ月後の回復期のDHQLを分析できた。臨床データとの照合作業が遅れており、DHQLの解析結果とアミノ酸分画、脂肪酸分画の比較作業を現在行っている。DHQLの脱落例防止対策を研究協力者の管理栄養士と行っているが、未だ脱落例を認めた。 未測定の凍結血漿検体が100例あり、早期に測定に着手する。臨床データの照合作業と論文執筆作業が遅れており現在作業中である。
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Strategy for Future Research Activity |
急性冠症候群およびうっ血性心不全入院時に評価できた症例の、慢性期の再調査を行いデータ収集に努める。発症直前の食生活において、個々の栄養素の過剰摂取よりも、必要な栄養素の摂取不足やバランスの障害が認められる。入院時の臨床データと食生活との関係を解析する。年齢、性差の影響があり、群分して解析する。3年間で得られたデータの分析と論文執筆作業が遅れており、作業を進める。
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Causes of Carryover |
3月実施したDHQL栄養価計算費用の支払いを4月以降に延ばしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
すでに4月中に全額使用した。
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Research Products
(4 results)