2015 Fiscal Year Research-status Report
日本人労働者の職業性ストレスと脳・心血管疾患発症の関係
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26460784
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
石崎 昌夫 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10184516)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 職業性ストレス / 脳・心血管疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
1996年から2013年までに対象事業場に提出された診断書のうち、病名より虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脳動脈瘤、不整脈に分類されるものを抽出し集計した結果、同観察期間内に初発したのは204件であった。その中で、1996年または2002年の職業性ストレス調査に回答し、その後の就労記録がある人の診断件数は虚血性心疾患63件、脳梗塞40件、脳出血25件、くも膜下出血19件、脳動脈瘤14件、不整脈15件の計176件であった。男女比は男性が146件、女性が30件であった。平均年齢は51.9±7.0歳(25歳~64歳)、年代別の内訳では、20歳代1件で、30歳代9件、40歳代41件、50歳代115件、60歳代10件であった。 1996年と2002年のそれぞれの職業性ストレス調査結果の仕事要求度、仕事自由度、上司・同僚のサポート度の得点を中央値で2分位して、対象疾病発生との関係を1996年調査と2002年調査をベースラインとして男女の区別をせずにLog-rank検定(観察期間は年単位で退職・転勤まで)を用いて検討した。観察年数はそれぞれ12.8±5.5年と8.7±3.7年であった。1996年と2002年からの観察では、仕事自由度が高い群で虚血性心疾患発症が多かったが、脳血管疾患(脳梗塞、脳出血)発症との明らかな関係は認めなかった。また、1996年と2002年の両年度の職業性ストレス調査に回答した人を各職業性ストレス得点の高低別に3群に分けて(1;1996年―低&2002年―低、2;1996年―低&2002年―高/ 1996年―高&2002年―低、3;1996年―高&2002年―高)、上記と同様の検定を2002年調査開始時点をベースラインとして行った。結果は、仕事自由度が高い群やサポートが低い群で虚血性心疾患発症が多い傾向にあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた、職業性ストレス調査結果と、事業場に提出された診断書からの対象疾病把握、観察期間把握のための勤怠情報や交絡要因となる教育歴や治療歴を含むデータベース構築(対象事業場担当者が行った連結不可能匿名化)が完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の結果では、仕事自由度が高い群のほうが低い群より虚血性心疾患発症が多い傾向が認められたが、対象疾患発症に男性が多いことや転勤や退職に伴って観察期間が数日といった極端に短いものがあったことから、今後は性別や対象とする年齢・観察期間、他の交絡要因を考慮して、職業性ストレスとその後の脳・心血管疾患発症の関係を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
統計解析を行うためのソフト使用、統計専門家とのデータ解析方法検討の打ち合わせ、情報収集のための関連学会参加を予定している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
統計ソフト(SAS)使用料、データ解析方法の打ち合わせのための交通費、学会参加の交通費・参加費が必要となる。
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