2015 Fiscal Year Research-status Report
低用量カドミウムによるエストロゲン受容体活性化を制御する特異的なmiRNAの特定
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26460793
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
崔 正国 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (90572115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲寺 秀邦 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (10301144)
小川 良平 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (60334736)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | カドミウム / マイクロRNA / エストロゲン受容体 / 発がん |
Outline of Annual Research Achievements |
カドミウムは工業生産で重要な原料になっているが、典型的な環境汚染物質でもあり、イタイイタイ病、発がんなど様々な健康被害を引き起こす。環境保護意識の向上により高濃度汚染、急性中毒は少なくなっているが、低濃度カドミウムの曝露はまだ大きい環境問題になっている。カドミウムは生体内で蓄積し、その半減期は10年以上になっている。しかし、低濃度カドミウム長期曝露は急性中毒に比較して、症状の隠蔽性が高く、特に発がん性などの生体影響と分子メカニズムが不明であり、その解明が急がれている。カドミウムはまた内分泌撹乱物質としても報告されており、本研究は低用量カドミウム曝露による発がん性について、乳がんの発がんを中心として解析してる。 ヒト乳がん培養細胞株であるMCF-7細胞をカドミウム曝露群と対照群に分けて、それぞれ1nM-1μM塩化カドミウムにより長期間培養した。RNAを回収しGeneChipにより、低用量カドミウム曝露が誘発するmiRNAの発現変化を解析し、低用量カドミウムの処理により顕著に発現が増強あるいは抑制されるmiRNAについてリストアップした。また、同時に低用量カドミウム処理をした細胞を用いて、細胞の増殖、ストレス感受性、がん遺伝子、がん抑制遺伝子の発現をリアルタイムPCRとウェスタンブロット法などにより解析した。そのデータをマイクロアレイ法により得られて候補miRNAと比較し、その相関をデータベースと文献報告により解析している。 本研究により、低用量カドミウムによるMCF-7細胞のmiRNA発現変化が明らかになり、エストロゲン受容体の活性とシグナル伝達経路を制御する特異的なmiRNAを特定することが可能となる。低用量カドミウムによる発がんに寄与する分子メカニズムを解明し、低濃度カドミウム曝露による乳がんの発がんの有効な予防、診断及び治療法を構築するために有用な情報を提供する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【現在までの達成度】 マイクロアレイ法により、低用量カドミウムの長期曝露が誘導するMCF-7細胞のmiRNA発現プロファイリング変化を解析し、発現変化を示す上位の10種類のmiRNAをリストアップした。また、同時に低用量カドミウム処理をした細胞を用いて、細胞の増殖、ストレス感受性、がん遺伝子、がん抑制遺伝子の発現をリアルタイムPCRとウェスタンブロット法などにより解析した。
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Strategy for Future Research Activity |
【今後の研究の推進方策 等】 最大1600バイト
本年度の研究では、低用量カドミウムの長期曝露によりMCF-7細胞が有意な発現変化を示すmiRNAをリストアップすることができた。解析したmiRNAの発現変化の幅度が小さく、アレイ数を増やし、もっと詳細な解析を進める予定である。また、引き続き低用量カドミウム処理をした細胞を用いて、細胞の増殖、ストレス感受性、がん遺伝子、がん抑制遺伝子の発現をリアルタイムPCRとウェスタンブロット法などにより解析する。
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Causes of Carryover |
当初の計画のとおり、現在低用量のカドミウム処理による顕著な発現変化を示すmiRNA候補を一部リストアップした。解析したmiRNAの発現変化の幅度が小さく、アレイ数を増やし、もっと詳細な解析を進める必要があり、エストロゲン受容体活性及び関連シグナル伝達系との相関を詳細に検討する予定である。また、引き続き低用量カドミウム処理をした細胞を用いて、細胞の増殖、ストレス感受性、がん遺伝子、がん抑制遺伝子の発現をリアルタイムPCRとウェスタンブロット法などにより解析する。以上の使用計画のため相応する予算が必要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験消耗品に使用する。
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Research Products
(7 results)