2015 Fiscal Year Research-status Report
職業性胆管がん発症の原因となる究極発がん物質の究明
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26460806
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Research Institution | The Ohara Memorial Institute for Science of Labour |
Principal Investigator |
圓藤 吟史 公益財団法人大原記念労働科学研究所, その他部局等, 研究員 (20160393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 健三 日本大学, 薬学部, 教授 (50182572)
加藤 孝一 日本大学, 薬学部, 准教授 (60246931)
市原 学 東京理科大学, 薬学部, 教授 (90252238)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 胆管がん / 1,2-ジクロロプロパン / ジクロロメタン / グルタチオンS-トランスフェラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
大阪府の胆管がん死亡率を地域別にクラスター分析を行ったところ、胆管がんが多発した大阪の工場近隣では、胆管がんの多発は認められなかった。全国の職業性胆管がん例の曝露量を推定し第3報として報告した。その結果、1,2-ジクロロプロパン(DCP)曝露とともにジクロロメタン(DCM)曝露も胆管がん発症に寄与していることが認められた。 圓藤吟史と市原学が許容濃度等に関する委員会委員として参加する日本産業衛生学会は、オフセット印刷工程を発がん性分類から削除し、DCMを発がん分類の第2群Aとする提案を2015年総会で暫定として承認し、2016年5月24日の総会で確定した。 ヒト不死化胆管由来細胞であるMMNK-1細胞において、遺伝毒性を有することが既に知られているハロゲン化炭化水素2-ブロモプロパン(2-BP)処置により生体防御系因子であるNRF2、宿主防御因子であるApobec3C、発がん遺伝子であるKRASおよびGNASの発現が誘導された。 DMSO処理により高分化誘導されることで、初代培養細胞と同様にP450をはじめとする高い薬物代謝酵素活性を持つヒト肝腫瘍細胞を用いて、DCMおよびDCPを5-80 mM、1,2,3-トリクロロプロパン(TCP)を0.5-8 mMで24時間作用させたのち、薬物代謝酵素活性が細胞毒性に及ぼす影響をWST-8法にて調べた。DCM、DCPの毒性は酵素活性の影響を受けなかったが、TCPはIC50で比較した場合、約10倍程度DCMより低く,酵素誘導した細胞では明らかにTCPの方が毒性は強かった。また、TCPを24時間作用させmRNA量をTCP未処理細胞と比較した結果、複数分子種のP450s、GSTs、その他cytokinesのmRNA合成が上昇していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DCM、DCP、1,2-ジブロモエタン、1,2,3-トリクロロプロパンがMMNK-1細胞のRNAのいくつかの遺伝子を誘導させることが明らかになった。DCPはGSTの分布で種差を説明することは困難であり、DCMや類似ブロム化合物との異同性を検討する必要が認められた。 MMNK-1細胞において、2-ブロモプロパン処置によりNRF2、Apobec3C、KRASおよびGNASの発現が誘導された。 TCPはIC50で比較した場合、約DCMより10倍程度低く,酵素誘導した細胞では明らかにTCPの方が強い毒性が認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
DCPはGSTの分布を種差でもって説明することは困難である。DCMや2-BPなどの類似ブロム化合物との異同性を検討する必要が認められた。そのためNRF2、Apobec3C、KRASおよびGNASなどの因子を考慮した毒性実験を計画する。 次に、工業用DCPの不純物として推定されるTCPがもつ薬物代謝酵素活性における強い毒性に注目した実験を追求する。
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Causes of Carryover |
DCP曝露による各種動物でのグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)の分布を見た。DCPはジクロロエタンや1,2-ブロモエタンと異なり、GSTによる活性化は示さなかった。一方、ヒト不死化胆管由来細胞であるMMNK-1細胞において、遺伝毒性を有することが既に知られているハロゲン化炭化水素の2-ブロモプロパン(2-BP)処置により生体防御系因子であるNRF2、宿主防御因子であるApobec3C、発がん遺伝子であるKRASおよびGNASの発現が誘導された。 上述したDCM、DCP、1,2-ジブロモエタン、TCPと2-BPの作用の異同性を検討する必要性が生じた。 DCPが胆管がんを引き起こすメカニズムについて、多面的に検討した上で、更なる実験研究が望まれるため、当該年度の予算を削って次年度に回した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
DCPはGSTの分布を種差でもって説明することは困難である。り、DCMや2-BPなどの類似ブロム化合物との異同性を検討する必要が認められた。そのためNRF2、Apobec3C、KRASおよびGNASなどの因子を考慮した毒性実験を計画する。 次に、工業用DCPの不純物として推定されるTCPがもつ薬物代謝酵素活性における強い毒性に注目した実験を追求する。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Screening and surveillance for occupational cholangiocarcinoma in workers exposed to organic solvents.2016
Author(s)
Kubo S, Takemura S, Tanaka S, Nishioka T, Kinoshita M, Hamano G, Ito T, Yamamoto T, Abue M, Aoki M, Nakagawa K, Hijioka S, Miyamoto A, Osaki Y, Endo G, Kumagai S.
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Journal Title
Surg Today
Volume: 46
Pages: 705-712
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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