カーバメイト系農薬による抗癌免疫機能への影響及びその機序

2016 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 26460811
• Research Institution: Nippon Medical School
• Principal Investigator: 李 卿 日本医科大学, 大学院医学研究科, 研究生 (50250048)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 川田 智之 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (00224791)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2018-03-31
• Keywords: ＮＫ活性 / カーバメイト系農薬 / Thiram / Ziram / Maneb / Carbaryl

Outline of Annual Research Achievements

【目的】カーバメイト系農薬は殺菌剤及び殺虫剤として使用されている。カーバメイト系農薬はヒトnon-Hodgkinリンパ腫の発症リスクを高めることが報告されていることからカーバメイト系農薬はヒト抗癌免疫機能を抑制することが示唆されている。そこで、平成28年度ではカーバメイト系農薬Thiram, Ziram, Maneb及びCarbarylによるヒトNK(natural killer)活性への影響について検討した。
【材料と方法】1.本研究はNK細胞としてヒトNK細胞株であるNK-92CI細胞を用いた。2.カーバメイト系農薬は、Thiram、Ziram、Maneb及びCarbarylを用いた。3.in vitroでNK-92CI細胞を処理した後、NK活性測定はK562細胞を標的細胞とし、51Cr放出率の算定による細胞傷害法を用いた。
【結果と考察】1.Thiram, Ziram, Maneb及びCarbarylは用量・処理時間に依存してNK活性を抑制することが明らかとなった。各農薬の強さの順位はThiram≒Ziram＞Maneb＞Carbarylである。2.平成27年度の研究結果も踏まえてカーバメイト系農薬によるNK活性の抑制機序はカーバメイト系農薬によるNK細胞内Perforin、Granzymes A-B-3/K及びGranulysinの減少と関連すると考えられる。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成28年度では当初計画通り、カーバメイト系農薬Thiram, Ziram, Maneb及びCarbarylによるヒトNK(natural killer)活性への影響について検討し、Thiram, Ziram, Maneb及びCarbarylは用量・処理時間に依存してNK活性を抑制することが明らかとなった。各農薬の強さの順位はThiram≒Ziram＞Maneb＞Carbarylである。

Strategy for Future Research Activity

平成29年度では平成26－28年度の研究成果をまとめた上、カーバメイト系農薬による抗癌免疫機能への影響及びその機序をさらに検討していく。

Causes of Carryover

論文の誌上発表及び研究成果の国内・国際学会発表は次年度となったため、当初本年度に予算していた論文掲載料、国内・国際学会参加費は次年度に使用することになった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度使用額は論文掲載料・別刷料、国内・国際学会参加費に充てる。