2015 Fiscal Year Research-status Report
メタゲノム解析による胆汁中微生物の検索及び検出微生物と胆嚢がん発症との関連
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26460812
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
土屋 康雄 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 客員研究員 (60334679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 正治 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (40018693)
浅井 孝夫 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (60612736)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 胆嚢がん / メタゲノム解析 / 胆汁試料 / 胆嚢がん患者 / 胆石症患者 / 16S rRNA領域 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、ボリビア胆嚢がん患者と胆石症患者から採取した胆汁試料中の微生物叢のメタゲノム解析を行った。 ボリビア胆嚢がん患者2名と胆石症患者29名から採取した計31例の胆汁試料中からゲノムDNAを抽出し、精製処理、核酸定量、二本鎖DNA定量を行い、ゲノムDNAの品質検定を行った。その後、ライブラリー作成のため、16S rRNA領域(V3-V4領域)の増幅を行い、PCR産物の精製をAMPureXP(ベックマン・コールター社)を用いて行った。増幅は増幅プライマーの両端に増幅シーケンスに必要とされる共通配列が付与されている2種類のプライマー(341F primer、806R primer)を用いて行った。増幅条件は、94℃60秒(1 cycle)、(98℃10秒、50℃15秒、68℃15秒)×28 cycles、4℃holdとした。その結果、PCR増幅が確認されたのは31試料中4試料(胆嚢がん患者1例、胆石症患者3例)のみであった。 4試料のシーケンスライブラリーを作成するため、16S rRNA増幅産物を鋳型として各試料に固有のindex配列付きのプライマーを使用してPCRを行い、精製後のPCR産物をシーケンスライブラリーとした。シーケンス解析のため、解析条件としてシーケンス解析塩基長を250、シーケンス解析方法をペアエンド法、PhiX添加有りとし、クラスター形成、シーケンス解析を行った。 得られた配列を用いて、16Sデータベースに対する相同性検索および系統分類解析を行った。その結果、胆嚢がん患者の胆汁中にはFusobacterium nucleatum subsp. animals ATCC 51191とBacteroides fragilisが高頻度に存在していることが示された。一方、胆石症患者の胆汁中には、Escherichia coli, Salmonella sp. ATK1, Enterococcus gallinarumが高頻度に存在していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度の研究計画では、チリ胆嚢がん患者と胆石症患者から採取した胆汁試料中にどのような微生物がどのくらい存在しているかを明らかにすることであった。しかし、チリでの試料採取が予定より遅れてスタートし、予定していた試料数に達しなかったため、平成27年度は、ボリビアの胆嚢がん患者と胆石症患者から採取した胆汁中のメタゲノム解析を行うこととした。チリにおける試料採取は平成27年度中に終了し、平成28年度中に冷蔵状態で日本に搬入し、ボリビア患者から採取した試料と同様の方法で、胆汁中に存在する微生物を解析する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年5月に、チリ胆嚢がん患者5名と胆石症患者8名から採取した胆汁試料がチリから日本に輸送され、入手できることになっている。試料が日本に到着次第、以下の方法でメタゲノム解析を実施する。 胆汁からの核酸抽出作業はMACHEREY-NAGEL社のNucleoSpin Soilを用いてゲノムDNAを抽出する。抽出したゲノムDNAの精製は、AMPureXP(ベックマン・コールター社)を用いて実施する。NanoDropを用いた吸光定量、Quant-iT dsDNA BR Assay Kit (Invitrogen社)を用いた蛍光定量により核酸定量と二本鎖DNA定量を行う。16S rRNA領域の増幅に使用する試薬は、TKs Gflex DNA Polymerase(タカラバイオ社)とNextera XT Index Kit(Illumina社)であり、2種類のプライマー(341F primer、806R primer)を用いて、増幅条件、94℃60秒(1 cycle)、(98℃10秒、50℃15秒、68℃15秒)×28 cycles、4℃holdにより行う。シーケンスライブラリー作成は、16S rRNA増幅産物を鋳型として各試料に固有のindex配列付きのプライマーを使用してPCRを行い、精製後のPCR産物をシーケンスライブラリーとする。index配列を付加するためのPCR条件は、94℃60秒(1 cycle)、(98℃10秒、60℃15秒、68℃15秒)×8 cycles、4℃holdとする。 シーケンス解析を行い、胆汁試料中にどのような微生物がどれくらい存在しているかを明らかにする。得られた結果をボリビア患者から得られた結果と比較して、チリ及びボリビア胆嚢がん患者の胆汁中に存在する微生物を明らかにする。
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Causes of Carryover |
チリの胆嚢がん患者と胆石症患者からの試料採取が遅れたため、試料解析のための費用が次年度に回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
チリからの胆汁試料を解析するための費用として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)