2014 Fiscal Year Research-status Report
性及び甲状腺ホルモンを指標としたTBBPAとその代謝物による乳幼児の健康影響評価
Project/Area Number |
26460814
|
Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
中尾 晃幸 摂南大学, 薬学部, 講師 (20288971)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 臭素化難燃剤 / TeBBPA / BPA / TriBBPA / DiBBPA / MoBBPA / GC-MS / 性ホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
臭素化難燃剤のテトラブロモビスフェノールA(Tetrabromobisphenol A; TeBBPA)は、強い毒性を示さない比較的安全な難燃剤として世界で最も汎用されている。近年、TeBBPAは食品などを介して人体を汚染することから、ヒトの血液、脂肪組織及び母乳中からも検出されている。このTeBBPAの毒性は低いと報告があるものの、in vivoやin vitro試験において、甲状腺ホルモンやエストロゲンへの攪乱作用の他、免疫抑制作用及び神経毒性を有することが報告されていることや生体内に取り込まれたTeBBPAが代謝を受け、脱臭素化されたビスフェノールA(BPA)は内分泌かく乱作用が疑われている。このようにTeBBPAはもとより、その代謝物である脱臭素化体の毒性評価を行うことが重要である。本研究の実績は、現在、入手不可能であるTeBBPAの脱臭素化体のモノブロモビスフェノールA(MoBBPA)、ジブロモビスフェノールA(DiBBPA)及びトリブロモビスフェノールA(TriBBPA)をBPAとトリブロモピリジニウムのモル比及び反応時間から臭素化数を調整し、各脱臭素化体を合成した。合成した臭素化ビスフェノール化合物をHPLCにより精製し、再結晶化することにより純度99%以上のMoBBPA、DiBBPA及びTriBBPAの単離に成功した。さらに、これら臭素化ビスフェノールとTeBBPAを合わせたビスフェノール系化合物の高精度迅速型分析法を構築した。 一方、血中の性ホルモン(プロゲステロン、テストステロン、エストラジオールなど18種類)についてもピコグラムオーダーの包括的かつ一斉分析法の開発に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、臭素化難燃剤テトラブロモビスフェノールAの代謝物と推定されるモノ~トリブロモビスフェノールAを新規合成に成功し、それらテトラブロモビスフェノールA及びその代謝物を用いたビスフェノール系化合物の高精度迅速型分析法を構築したことで、平成26年度の目的に対する成果が得られたと判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策として、血液中の性ホルモン分析法を構築したことから、甲状腺ホルモン分析法を立ち上げ、環境汚染物質による生体恒常性攪乱作用解明の基盤を構築する。また、臭素化難燃剤であるテトラブロモビスフェノールAによる乳幼児食品への汚染実態を解明し、乳幼児へのリスク評価の基礎的資料を収集する。さらに、実験動物を用いた臭素化難燃剤とその脱臭素代謝物の毒性評価も行い、研究2年目になる平成27年度には毒性影響の総括を行っていく予定である。
|
Research Products
(5 results)