2014 Fiscal Year Research-status Report
殺虫剤・可塑剤・難燃剤による子どもの体内汚染と学校・住宅の室内空気質の及ぼす影響
Project/Area Number |
26460820
|
Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
吉田 俊明 大阪府立公衆衛生研究所, 企画総務部, 主任研究員 (00201856)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | メトフルトリン / 尿中代謝物 / ラット / ピレスロイド / 曝露指標 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、一般生活環境中で広範に使用される殺虫剤、可塑剤および難燃剤の一般子どもへの曝露レベルとその吸収量を明らかにすることを目的とする。 平成26年度は、住宅等での使用量が近年急増しているピレスロイド系殺虫剤の一種メトフルトリンの曝露における吸収量の指標となり得る尿中代謝物を検索した。さらに、生活環境下において曝露される可能性が高い、メトフルトリンを含む複数のピレスロイド剤の吸収指標となる尿中代謝物の分析方法を確立した。 ラットの腹腔内に一定量のメトフルトリンを投与 (10, 26, 64及び 160 mg/kg) 後、定期的に一週間採尿した。主要な代謝物3種の尿中排泄量の時間推移を薬物動力学的に解析した。吸収されたメトフルトリンの体内からの消失過程において最も重要な経路は尿中排泄であることが示唆された。代謝物4-メトキシメチル-2,3,5,6-テトラフルオロベンジルアルコールの尿中排泄量は、メトフルトリン投与量の約30%を占め、分析対象とした代謝物中最も多く、広範なメトフルトリン曝露濃度レベルにおいて、その吸収量に比例すると推定された。したがって、本尿中代謝物はメトフルトリン曝露における最適な吸収量モニタリング指標となり得ると考えられた。 ピレスロイド剤の尿中代謝物11種を対象として、これらのガスクロマトグラフィー/質量分析による定量方法を検討した。代謝物は、酵素 (β-グルクロニダーゼおよびスルファターゼ) で抱合を加水分解したのち、酸性下トルエンで抽出した。抽出液を濃縮したのち、代謝物を誘導体化 (アルコール類:トリメチルシリル化、カルボン酸類:tert-ブチルジメチルシリル化) し、内部標準法により定量した。各代謝物は、30 μg/l以下の尿中濃度において正確に再現性よく定量可能であった。採取した尿試料は1ヵ月間-20℃にて冷凍保存可能であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フタル酸系可塑剤の尿中代謝物であるモノアルキルフタル酸類の分析方法を26年度内に検討することを計画していたが、着手できなかった。本課題の研究活動以外の業務が予定以上に増加し、本研究のエフォートが減少したことが主要な原因と考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
27年度は、フタル酸系可塑剤に曝露された際にその代謝物として尿中に排泄されるモノアルキルフタル酸類のガスクロマトグラフィー/質量分析による定量方法を確立する。
|
Causes of Carryover |
上記のとおり、26年度はフタル酸系可塑剤の尿中代謝物であるモノアルキルフタル酸類の分析方法の検討に着手できなかった。分析には対象とする各モノアルキルフタル酸の標準物質の入手が必要であるが、26年度はこれらを購入しなかったことが、27年度使用額が生じた大きな理由である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度は、各モノアルキルフタル酸の標準物質の購入、分析方法の検討に係る試薬やガラス器具、分析装置関連消耗品の購入のほか、研究成果発表のための学会旅費、論文校閲・投稿料等に予算を充当する計画である。
|
Research Products
(3 results)