2014 Fiscal Year Research-status Report
多世代参加コミュニティ・エンパワメントの実践による地域づくり型自殺予防の実証研究
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26460822
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
藤田 幸司 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40463806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 久長 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70205855)
金子 善博 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70344752)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コミュニティ・エンパワメント / 自殺予防 / 社会参加 / メンタルヘルス / ソーシャル・キャピタル / ヘルス・プロモーション / 地域保健 / 地域づくり |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である平成26年度は、秋田県H町において、コミュニティ・エンパワメントの技法を取り入れた積極的な社会参加をうながす地域づくり型の介入プログラムを実施(多世代参加コミュニティ・エンパワメント)した。 介入プログラムは地域高齢者だけではなく、働き盛り世代の男性や、若年層に積極的に参加してもらうための方法を行政担当者(主に保健師)や分担研究者と検討し考案した。本研究における介入プログラムは、幅広い年代の住民が主体となって、地域における問題を自由に話し合い、解決していくことができるような環境形成(地域づくり)は、ソーシャル・キャピタルを強化し、住民のメンタルヘルス改善に資すると考えられるが、そのためには高齢者中心の介入だけではなく、若年者や働き盛り世代の積極的な参加および世代間交流が必要であるとの仮説の実証を目的とするものである。 介入事業への参加協力の得られた4自治会において、平成26年9月から11月に、地域の公民館や集会場を利用し、そこに住民が積極的に集まり地域の問題点と解決策を考える住民主体の集まる機会を設定した。コミュニティ・コーディネーター(まとめ役)は自治会長に依頼し、幅広い世代の参加の呼びかけを依頼した。保健師や大学の研究者はファシリテーター、コンサルタントとしての役割を担当した。参加者は世代間交流活動を行いながら、住民主体で地域の問題点や解決策を考え発表するワークショップに取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、研究分担者および行政担当者と、介入方法および介入プログラム、および研究計画全体について、綿密な検討および打合せを頻繁に実施した。行政担当者との協働により、秋田県H町において、多世代参加によるコミュニティ・エンパワメントの技法を取り入れた積極的な社会参加をうながす地域づくり型の介入プログラム(多世代参加コミュニティ・エンパワメント)を4自治会で計6回実施することができた。秋田県H町は高齢化の進んだ地域であり、予想よりも多世代の参加者を集めることは困難であったが、概ね幅広い世代の参加者を得ることができた。終了後は簡単な自記式質問紙調査を実施し、参加者の意識変化を測定した。 初年度である平成26年度に予定していた介入研究は、概ね予定通り実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、多世代参加コミュニティ・エンパワメントによる地域づくり型の介入後の、住民のメンタルヘルスとソーシャル・キャピタルの変化や、それに寄与した要因を明らかにすることを目的に、秋田県H町において15歳以上85歳未満の全住民約7,000人を対象とした自記式による質問紙調査を実施する。予定する調査項目は、基本的属性、精神的苦痛(mental distress)、自己効力感、社会参加状況、社会参加関連要因、地域づくりの取り組み・活動状況、外出頻度、認知的ソーシャル・キャピタルなどである。 平成28年度には、調査データを2012(平成24)年に秋田県H町の15歳以上85歳以上の住民を対象に実施した悉皆調査のデータとの突き合わせを行い、多重ロジスティック回帰分析や比例ハザード分析などの多変量解析により、多世代参加コミュニティ・エンパワメントの効果を実証する。主なアウトカムは地域住民のメンタルヘルス(精神的苦痛)、認知的ソーシャル・キャピタル、および自己効力感の変化である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由(主に分担研究者において)としては、初年度ということもあり、研究成果が学会発表の水準にまでは達しなかった部分があり、学会などへの出張を行わなかったため、旅費が発生しなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に実施予定の悉皆調査に基づく研究結果を、国内および海外の学会にて報告するための旅費に使用することを計画している。
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Research Products
(1 results)