2015 Fiscal Year Research-status Report
多世代参加コミュニティ・エンパワメントの実践による地域づくり型自殺予防の実証研究
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26460822
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤田 幸司 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 特任助教 (40463806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 久長 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70205855)
金子 善博 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70344752)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コミュニティ・エンパワメント / 自殺予防対策 / ソーシャル・キャピタル / 世代間交流 / メンタルヘルス / 地域づくり / 社会参加 / 高齢者の閉じこもり |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、平成26年度に実施した「多世代参加型コミュニティ・エンパワメントによる地域づくり型の介入プログラム」実施後の、住民のメンタルヘルスとソーシャル・キャピタルの変化や、それに寄与した要因を明らかにすることを目的に、研究対象地域である秋田県H町にて質問紙調査を実施した。調査は平成27年8月1日現在15歳以上85歳未満の全町民6,408人(中学生および病院や施設に入院・入所中、外国人研修生の方を除く)を対象とし、平成27年8月28日~9月13日の期間に、各地域を担当する保健衛生委員の協力による自記式質問紙調査票の配布、回収により実施した(留置法)。調査は広島大学疫学研究倫理審査委員会による承認を受け(第E-86号)、個人情報の保護に細心の注意を払い実施した(各個人に配布後、封をした状態で回収)。調査項目は、基本属性(年齢,性別など)、心のストレス関連要因(社会参加の状況,暮らし向きなど)、心のストレス度(K6質問票)、生活習慣・健康づくり関連項目、自己効力感、心理社会的要因(健康感,精神的不調,希死念慮など)、ソーシャル・キャピタルに関する項目、介護状況・介護負担感(40歳以上)、外出頻度(閉じこもり)と関連項目(65歳以上のみ)、物忘れ・認知症の不安(65歳以上のみ)である。 本調査では調査票を対象者6,408人に配布し、5,569票を回収した(回収率86.9%)。白紙回答441票を除く5,128票を有効回答とした。有効回答のうち、記名回答は2,883票(58.3%)、無記名回答は2,061票(41.7%)であった。 記名回答者のデータについては、平成24年8月に同町の15歳以上85歳未満の住民を対象に実施した悉皆調査のデータと突合し結合を行い、コホートデータとした。本調査で得られたデータは、多世代参加型コミュニティ・エンパワメントによる地域づくり型の介入プログラムの効果を実証するための大変貴重なものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、自殺死亡率の高い農村・過疎地域において、幅広い世代を対象とした多世代参加コミュニティ・エンパワメント(地域づくり・社会参加型の介入)を行い、地域住民のメンタルヘルス改善、自己効力感の向上、認知的ソーシャル・キャピタル向上の効果を明らかにすることによって、自殺予防における地域介入効果を検証することである。 初年度は、秋田県H町において、地域高齢者だけではなく、働き盛り世代や若年層に積極的な参加を促す方法を、行政担当者(主に保健師)や分担研究者と検討し、多世代参加型コミュニティ・エンパワメントによる地域づくり型の介入プログラムを考案、参加協力を得られた4つの自治会において、平成26年9月から11月に実施した。 平成27年度は、平成26年度に実施した「多世代参加型コミュニティ・エンパワメントによる地域づくり型の介入プログラム」実施後の、住民のメンタルヘルスとソーシャル・キャピタルの変化や、それに寄与した要因を明らかにすることを目的に、15歳以上85歳未満の全町民6,408人を対象とした悉皆調査を実施し、5,569票を回収することができた(回収率86.9%)。記名回答者のデータについては、分担研究者の協力のもと、平成24年に実施した調査のデータと結合を行い、コホートデータを作成した。 以上より、本研究課題の進捗については、当初の研究計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成28年度には、調査データを申請者らが平成24年に秋田県H町の15歳以上85歳以上の住民を対象に実施した悉皆調査のデータと突合したコホートデータを用いて多変量解析による分析を行い、多世代参加型コミュニティ・エンパワメントによる地域づくり型の介入プログラムの効果を実証する。主なアウトカムは地域住民のメンタルヘルス(精神的苦痛)、認知的ソーシャル・キャピタル、および自己効力感の変化である。得られた結果を取りまとめ、成果の発表報告を行う。
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Causes of Carryover |
国際学会への参加旅費が想定よりも安価であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果を国内および海外の学会にて報告するための旅費として、使用を計画している。
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Research Products
(7 results)