2014 Fiscal Year Research-status Report
地域の自殺予防に資するレジリエンス社会の構成要因の探索
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26460823
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
金子 善博 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70344752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 幸司 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40463806)
佐々木 久長 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70205855)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自殺 / リジリエンス / 社会的要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の自殺死亡率は諸外国に比べて高い水準にあるが、変動も大きい。全国レベルでは1997年から翌年にかけ35.1%増加したが、1950年以降の最大の減少率は11.7%と増加率に比べて小さく、これは都道府県単位でも同様であり自殺の統計上の特徴の一つと言える。そして1998年の急増を除いても大きく増加した年は集中する傾向があるが、大きく減少した年は都道府県により様々である。自殺の増加は全国的な影響、要因が想定されるが、減少については地域ごとの社会的要因の影響がより大きいことが予測された。 マクロレベルでの基礎集計として、自殺が急増した1997年から翌年にかけての変化を除く1951年から2013年までの都道府県別の自殺死亡率の各年の増減率を検討した。都道府県別の標準偏差の最大は15.4%、最小は7.3%であるが人口規模との相関がある。そこで2000年の人口を基準として人口規模別に検討したところ人口100~150万人の14県の中での標準偏差の最大は13.7%、最小は10.3%、人口150万~300万人の16県の中での標準偏差の最大は11.9%、最小は8.0%と、ばらつきには差があった。また、各群での標準偏差と人口の間に有意な相関はなかった。 ミクロレベルでの研究として平成27年3月に秋田県内の自治体において地域住民約3000人を対象とした質問紙調査を行い、現在データの入力、固定作業中である。同調査は実施自治体の協力により実施したものであり、調査項目には社会人口学的な基本属性と共に心理的なリジリエンスの評価項目を用いた。次年度以降、統計解析および検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画上の進捗状況はやや遅れている。全体計画の中でのマクロレベルでの検討にあたって、モデルの構築に難航している部分があり、予定に比して分析の進捗が遅れている。ミクロレベルでの検討にあたっては、住民対象の調査を年度内に実施できた点が計画より進んでいる。全体として、初年度単年度の進捗としては実施に至らなかった計画もあったがその準備は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
マクロレベルでのモデルの構築を加速させるために、精力的な情報収集や実質的なエフォートの増加を図る。全体の研究計画に変更はなく、次年度以降も全体計画に従って進める予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画上、特にマクロレベルの研究の進捗状況がやや遅れたため、分析のためのデータセットの構築作業が遅れ、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、特に社会的レジリエンス要因のマクロモデル構築を加速させるための情報収集等に充てる。全体の研究計画に変更はないが、拙速な執行とならないように注意する。
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