2016 Fiscal Year Research-status Report
地域の自殺予防に資するレジリエンス社会の構成要因の探索
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26460823
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
金子 善博 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 自殺総合対策推進センター, 室長 (70344752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 幸司 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 特任助教 (40463806)
佐々木 久長 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70205855)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自殺 / レジリエンス社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域住民の自殺予防に資するレジリエンス社会の要因の検討を引き続き実施した。 マクロモデル研究では、地域における自殺者数、自殺率の変化、変動の大きさに着目しており、全国の1741市町村別の自殺の変動の評価モデル化を構築することが重要である。市町村別の自殺者数については、警察庁による自殺統計が平成21年より報告されており、平成28年までの8年間のデータについて、関連指標も含めたデータセットの構築とモデル化を行った。市町村別の自殺変動の指標として、複数モデルの検討から、平成21~28年の隣接する各2年間の自殺者数の変化の絶対値の合計を用いることが適当であると考えられた。また、本邦の市町村は人口規模の格差が大きく、市町村毎の傷病、死亡の発生についての分析ではポアソンモデルが多く用いられている。平成28年の自殺者数のポアソン分布のパラメーター(λ=1.87)に対して、平成21~28年の変動の分布のパラメーターはλ=2.65だった。椿ら(2013)の自殺の要因分析を参考に、log(人口)をオフセットとしたポアソン回帰分析モデルを構築した。 ミクロモデル研究では前年度に実施した地域での住民悉皆調査結果等に基づき、自殺に対する反応に関連する要因の分析を行い、自殺対策の理解や協力に関係する住民の思い、態度を検討した。「地域の自殺を何とかしなければ」との態度には過去に「死にたい」と思った経験や身近な自殺の経験が関連していた。最近、他の調査報告で全国での「死にたい」との回答割合が増加しており、近年の自殺死亡率の減少と相反する結果だった。これについては実際に「死にたい」人の割合が増加したのではなく、一般に忌避されがちであった「死にたい」との思いを表現しやすくなったためであるかもしれない。我々の住民調査結果とあわせると、「死にたい」との回答の増加は、自殺予防に資するレジリエンス社会に寄与しうる可能性があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
マクロモデルの構築、特に分析に用いる説明変数の選択、効率的なモデルの開発が遅れたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
マクロレベルでのモデルの構築を加速させるために、実質的なエフォートの増加を図り、学術的成果の達成を図る。全体の研究計画に変更はなく、全体計画に従って順次執行する予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画上、特にマクロレベルの研究の進捗状況が遅れたため、分析と学会報告等成果発表が遅れ、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
全体の研究計画に変更はなく、全体計画に従って順次執行する予定である。
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