2014 Fiscal Year Research-status Report
地理情報システムと住民アンケートによる都市vs農村の健康の社会的決定要因の解明
Project/Area Number |
26460828
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
菖蒲川 由郷 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (30621198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井口 清太郎 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任教授 (20420309)
齋藤 玲子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30345524)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 健康の社会的決定要因 / ソーシャルキャピタル / 高齢者の健康 / 都市と農村 / 地理情報システム |
Outline of Annual Research Achievements |
3年計画の1年目にあたる平成26年度中に、都市部と農村部の高齢者に対するアンケート調査データを収集することができ、研究目的を達成するためのデータベースが整った。計画は順調に進んでいる。当初計画していた新潟県魚沼市での大規模アンケートは、他研究調査(魚沼コホート調査)と重なり、住民の混乱を招く可能性があるとのことで取りやめざるを得なくなった。そこで、新潟県内で魚沼市同様の中山間地豪雪地帯である十日町市と阿賀町において、高齢者の生活習慣と社会環境を調査するアンケート「くらしと健康の調査」を実施した。調査は本申請とは別の予算で施行した。 阿賀町については4196名(介護認定を受けていない高齢者全数)に配布し、3112名より回収した(回収率74.2%)。データを入力後、粗集計と地図作成による見える化を行った。十日町市については、およそ14000名の介護認定を受けていない高齢者(全数)に対し調査票を配布した。現在、回収したデータを入力中である。 同じ新潟県内で都市部にあたる新潟市ではすでに同様のアンケート調査(介護認定を受けていない高齢者8000名に配布し約5000名から回答を得た)を平成25年11月に行っており、今後、都市部と中山間地農村部の間での比較・解析が可能となる。1回目のアンケート調査を予定通り終えることができ、都市部と農村部の高齢者における健康の社会的決定要因を平成27年度に検討していく予定である。 現時点までで研究目的である都市部と農村部の健康の社会的決定要因の違いを明らかにするためのデータベースはできあがった。今後、データを解析し都市部と農村部において、高齢者の健康の社会的決定要因がどのように異なるか検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた農村部の代表である新潟県魚沼市における調査はやむを得ない事情により実現できなかったが、同じ新潟県内の中山間地である十日町市と阿賀町において調査を行うことができた。一方、都市部の代表である新潟市ではすでに平成25年に調査を行っている(本研究外)。阿賀町については4196名(介護認定を受けていない高齢者全数)に調査票を配布し、3112名より回収した(回収率74.2%)。データを入力後、粗集計と地図作成による見える化を行った。十日町市については、およそ14000名の介護認定を受けていない高齢者(全数)に対し調査票を配布した。現在、回収したデータを入力中である。 予定通り、都市部と農村部における高齢者を対象に大規模アンケート調査を行うことができ、調査の進捗は順調である。今後、整いつつあるデータベースを元に、都市部と農村部の高齢者における健康の社会的決定要因を解明・比較していく計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までで、都市部の代表である新潟市と農村部の代表である十日町市と阿賀町において、介護認定を受けていない高齢者に対する調査の1回目が終了した。一部、業者によるデータ入力が終了していないが、データベースはほぼ、整いつつある。これらのデータベースを用いて、今後の研究を次のように推進する。 (平成27年度) 新潟市のデータより、都市部の高齢者の健康の社会的決定要因を解明する。また、十日町市と阿賀町のデータより、農村部の高齢者の健康の社会的決定要因を解明する。その上で、両者を比較し、共通点と違いを明らかにする。都市部と農村部では高齢者に対する健康促進・介護予防へのアプローチや重点を置くべき事項が明らかとなり、効果的な施策に役立てることができる。 (平成28年度) 新潟市では平成25年度の追跡調査として、高齢者に対する大規模アンケート調査を計画している。本計画はJAGES(Japan Gerontlogical Evaluation Study:日本老年学的評価研究、代表・近藤克則)研究グループの全国調査JAGES2016の一環として行われる予定である。2回目の調査では、1回の横断調査では分からなかった健康アウトカムと暴露因子との因果関係を明らかにすることができ、高齢者における健康の社会的決定要因をより強いエビデンスとして解明できる。農村部である十日町市と阿賀町では平成26年度末に1回目の調査が終了したばかりであり、新潟市同様の2回目の調査時期を検討中である。
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Causes of Carryover |
平成26年度には阿賀町と十日町市の2カ所でアンケート調査を行ったが、費用を別予算で行うことができた。このため、当初、アンケート調査費用として使用する予定であった額が次年度使用額として生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
農村部では予定より多い2カ所のアンケート調査を行い、対象人数も予定より大幅に増えた。これにより、粗集計と地図化の作業に予定より労力がかかる。平成27年度には、これらの粗集計や地図化のために費用が発生する。また、解析ソフトやワークステーション等、詳細な解析に必要な消耗品を購入する予定である。
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