2014 Fiscal Year Research-status Report
医学的評価に基づく自閉症児のきょうだい支援システムの構築
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26460829
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
川谷 正男 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (10362047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 哲也 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任准教授 (00377459)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳波 / 非線形解析 / 自閉症スペクトラム障害 / 注意欠陥多動性障害 / 同胞 / きょうだい支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、共同研究者や研究協力者と研究推進についての議論を重ね、研究体制の構築を進めた。 発達障害(自閉症スペクトラム障害や注意欠陥多動性障害)の診断を受けている同胞児童4組8例(すべて男性、6~11歳)の脳波解析を行った。脳波解析は通常の解析に加え、非線形解析(マルチスケールエントロピー(MSE)解析)を行い、脳波所見と臨床背景との関連について検討を行った。臨床診断、知能指数、ADHD評価スケール、薬物療法や突発性異常波の有無と脳波のMSE解析所見との間に有意な関連性は認められなかった。しかし、前頭部と後頭部の脳波の複雑性の比を周波数域別に検討したところ、同胞内間での強い類似性および同胞外間での相違性を認めた。予備的研究ではあるが、脳波のMSE解析は同胞内における神経ネットワーク機構の類似性を抽出する上で極めて有効であり、さらに遺伝負因を含めた脳機能の内的要因を反映することが明らかとなった。 また、自閉症スペクトラム障害の強迫症状に対する電気けいれん療法(ECT)の有効性に対する客観的指標や健常高齢者を対象とした加齢と認知能力の関連性への客観的指標として脳波のMSE解析が有用であることを報告した。 小児科医、臨床心理士らで成る有識者による支援グループを結成し、自閉症児を持つきょうだい児に対し、定期的な支援活動を行った。きょうだい児のニーズに沿った活動内容とし、自由に交流し自発的に生じた様々な思いを自由に話し合える場を提供した。 きょうだい支援や活動内容についてはホームページ(http://kyoudai.med.u-fukui.ac.jp/)で公開している。また、メディアにも、本活動の実際やきょうだい支援の意義について取り上げられ紹介された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発達障害同胞例の脳波解析を行うことができたが、目標とする症例数には到達しておらず、今後、さらなる症例の蓄積と解析が必要である。 また、きょうだい支援についても支援体制を構築し定期的な活動を実践することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究体制の拡充とさらなる症例の蓄積と解析を進める。 研究成果をホームページや学会に報告し論文化していく。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、被験者のエントリーが少なく人件費や謝金などが予定より少なくなった。また、ホームページ管理維持費も平成26年度は不要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、研究体制を拡充し、被験者や症例を蓄積し、研究成果をホームページに公開し、学会に報告していく予定である。
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Research Products
(2 results)