2015 Fiscal Year Research-status Report
医学的評価に基づく自閉症児のきょうだい支援システムの構築
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26460829
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
川谷 正男 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (10362047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 哲也 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任准教授 (00377459)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳波 / 非線形解析 / 自閉症スペクトラム障害 / 注意欠陥多動性障害 / 同胞 / きょうだい支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
「Neural network mechanism for siblings with neurodevelopmental disorders using non-linear analytic methods(AOCCN2015)」発達障害同胞例4組8名を対象に脳波検査を施行し、脳機能の複雑性を非線形解析(マルチスケールエントロピー解析:MSE解析)を用いて評価し、様々な臨床背景と比較検討した。本研究では種々の臨床因子とMSE解析所見との間に有意な関連性は認められなかったが、前頭部と後頭部の脳波の複雑性の比を周波数域別に検討したところ、同胞内間での強い類似性および同胞外間での相違性を認めた。脳波のMSE解析は同胞内における神経ネットワーク機構の類似性を抽出する上で極めて有効であり、さらに遺伝負因を含めた脳機能の内的要因を反映することが明らかとなった。また、発達障害の小児例において、脳波の複雑性を解析することは臨床的に有用であることが示唆された。 「発達障害の双胎例における臨床的多様性(第57回日本小児神経学会)」発達障害の双胎例12組24名を対象として、双胎間における初診時年齢、受診理由、発達歴、認知機能、臨床診断について比較検討を行った。通常の同胞間よりも遺伝的背景が似通っていると予想される双胎例においても臨床像が異なる例が散見され、発達障害の発症要因の多様性が示唆された。今後、症例数を追加し更なる検討を加える予定である。 自閉症児のきょうだい支援は、女児6名を対象に定期的に支援活動を行った。対象児のニーズや満足度は高く、年齢とともに対象児の自立と活動の多様化を認め、学童期の支援の有効性について一定の効果を確認できた。今後は、成人期以降や就学前の支援活動のあり方について考えていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発達障害同胞例や双胎例を対象に臨床背景分析や脳波解析を行い、より客観的な評価を行うことができた。特に脳波は非線形解析法を用いることにより、より詳細な病態の評価が小児例においても可能であり、臨床的に有用なバイオマーカーになりうることが確認された。 また、特に学童期におけるきょうだい支援の必要性や活動の有効性について確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
症例のさらなる蓄積とより有用な脳波解析方法の開発を行っていく。 きょうだい支援活動のさらなる発展に努めていく。
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Causes of Carryover |
被験者などの人件費や謝金などの費用が予定より少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
症例のさらなる蓄積や同一症例の縦断的解析を行っていく。 研究成果の発表(学会発表、ホームページでの公開、論文作成)を行っていく。
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Research Products
(5 results)