2016 Fiscal Year Research-status Report
小児におけるインスリン抵抗性と摂取する脂肪酸の種類との関連の検討
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26460847
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
西村 理明 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (20343535)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脂肪酸分画 / 小児 / インスリン抵抗性 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちは、新潟県津南町において、平成21年度から中学3年生において空腹時インスリン値ならびに血糖値を測定し、インスリン抵抗性指数のHOMA-R指数ならびにインスリン分泌能を反映するHOMA-β指数を求め、関連する因子を検討してきた。 平成26年度までに、合計で男児252名、女児193名の測定を行い、男児のHOMA-R指数、HOMA-β指数およびBMIの中央値は、それぞれ, 1.2, 64, 19.2で、女児ではそれぞれ1.5, 86, 20.4であった。男女間で比較すると、HOMA-R指数、HOMA-β指数およびBMI共に女性で有意に高値であった(p=0.002, P<0.001, P<0.001) (Nishimura R et al, JDI, 2017, accepted) 。 対象とした児童において生活習慣に関するアンケートを行い、測定したデータと連結して、その関連を見る予定であったが、町からの許可が得られなかった。そこで、町との度重なる交渉の結果、平成27年度からアンケートをせずとも、食生活(特に魚を摂取しているか否か)を予測できる脂肪酸分画を測定する許可が得られた。 平成27年-28年度に、対象とした中学3年生124名中118名(参加率95.2%)において空腹時採血を施行した。EPA/AA比の値[中央値(25-75%値)]は、0.130(0.098-0.160)と一般人口の基準値である0.3以上と比較して著しく低い値が観察された。0.3以上の者は2名だけであった。HOMA-R指数とEPA/AA比の相関をSpearmanの順位和相関係数で検討したところ、r=0.18(p=0.043)と有意な相関が見られた。 津南町の小児における、魚の摂取は極めて少ない可能性が示され、魚の摂取とインスリン抵抗性は関連する可能性が示された。今後、対象症例数を増やし詳細に検討したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新潟県津南町における、中学生の健康診断は、毎年5月初旬に行われている。私たちは、平成21年度から、中学3年生を対象に空腹時血糖値を採血できる環境整備を行ってきた。しかしながら、本研究費の採択通知は、平成26年5月以降であったため、平成26年度に脂肪酸分画の採血を行うことは不可能であった。 平成27年度の健康診断において、脂肪酸分画を測定できるよう、町との交渉、保護者への文書配布等の環境整備に努めた。その結果、本人並びに保護者から同意を得た上で、HOMA-R指数に加え、脂肪酸分画も採血する許可が得られ、測定を実施した。また、平成28年度も、脂肪酸分画の測定が許可され、測定結果を、本人ならびに保護者へフィードバックした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27-28年度の健康診断において、脂肪酸分画を測定した実績が評価され、平成29年度も同様の採血を行う許可を得た。 平成27-28年度の対象症例のみでは118例とサンプル数が少ないため、平成29年度において採血に同意を得た症例のデータを加え、統計解析に耐えうる、なおかつ外的妥当性を高めると考えられる症例数において検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新潟県津南町における、中学生の健康診断は、毎年5月初旬に行われている。 しかしながら、本研究費の採択通知は、平成26年5月以降であったため、平成26年度に脂肪酸分画の採血を行うことは不可能であり、その予算が平成27年度に繰り越され、平成27年度分が平成28年度に繰り越され、さらに平成28年度分を平成29年度に繰り越す予定であるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年5月の健康診断において、脂肪酸分画を採血する許可が得られた。ここで、平成28年度用として計上していた検査費用を使用する予定である。
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[Journal Article] Population-based cross-sectional study on insulin resistance and insulin-secretory capacity in Japanese school children.2017
Author(s)
Nishimura R, Sano H, Onda Y, Tsujino D, Ando K, Ebara F, Matsudaira T, Ishikawa S, Sakamoto T, Tajima N, Utsunomiya K.
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Journal Title
J Diabetes Investig.
Volume: Epub ahead of print
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant