2014 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児貧血の発育・発達への影響と貧血の予防・改善方策に関する大規模疫学研究
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26460848
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
田中 太一郎 東邦大学, 医学部, 講師 (70402740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西脇 祐司 東邦大学, 医学部, 教授 (40237764)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 貧血 / 妊婦 / 乳幼児 / 健康診査 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳幼児貧血は小児科診療の場で比較的よく認められる疾患である。しかし、乳幼児貧血に関する疫学研究は我が国ではほとんど行われていない。そこで平成26年度は、母の妊娠中の状況と乳幼児の貧血発症との関連を明らかにすることを主な目的として研究を実施した。 沖縄県では乳児前期・後期健康診査、1歳6か月時健診の際に全市町村で貧血検査(ヘモグロビン値の測定)が実施されている。そして、乳幼児健診のデータは公益社団法人沖縄県小児保健協会で全て電子化され、各市町村が保有している。また、妊婦健診の際にも貧血検査が実施されているが、妊婦健診のデータも沖縄県国保連合会で電子化され、各市町村がデータを保有している。そこで、これらのデータを沖縄県、各市町村と協力して、同一母児について結合する作業を行い、解析用データセットファイルを作成した。今回は2011~2013年度に実施された乳児前期健診・後期健診を受診した児とその母親のうち、妊婦健診1回目・5回目時点でのヘモグロビン値、および乳児前期・後期健診時点でのヘモグロビン値の全てがそろっている母児23,043組(男児:11,639人、女児:11,404人)を対象にデータ分析を行った。 貧血を認める妊婦の割合は1回目妊婦健診時点で10.5%、5回目健診時点で42.6%であった。貧血を認める妊婦の割合を保健所ごとに比較すると、保健所間で差が認められた。また、やせの妊婦で貧血を認めるものの割合が高く、肥満の妊婦で最も少なかった。母の貧血の有無と児の貧血の有無との関係を検討すると、乳児後期健診時点で児に貧血を認めるオッズ比は5回目妊婦健診時点で貧血を認めた母から出産した児において1.3(95%信頼区間:1.1-1.5)であった。妊娠期間中の母の貧血の有無と乳児期の児の貧血との間にやや関連が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では3つの研究目的を掲げているが、そのうちの1つである「母の妊娠中の状況と乳幼児の貧血発症との関連を明らかにする」について当初の計画通りに研究を実施し、関連を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は乳幼児の貧血が児(特に1歳半、3歳時点)の体格・発育・発達(精神・運動)に与える影響を検討するために、すでに構築したデータセットを用いて、乳児から1歳6か月健診にかけての貧血(Hb値)の状況と1歳6か月・3歳健診時点の体格、発育、精神・運動発達との関連を検討する。また、海外で行われている同様の先行研究に関する文献レビューを進め、児の精神・運動発達を的確に把握・評価するために、1歳6か月・3歳健診で実施可能な調査票の作成や検査項目に関する検討を行う。
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Causes of Carryover |
研究打ち合わせを他の用務と併せて実施するようにしたため、旅費を当初予定ほど必要としなかった。また、デスクトップパソコンや統計解析用ソフトウェアの購入金額を当初計画より低く抑えることができた。そのため、直接経費に次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究費は研究打ち合わせや調査に伴う旅費、データ入力に伴う費用、研究成果発表のための旅費等に使用予定である。
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