2017 Fiscal Year Annual Research Report
Influence of Anemia in Infancy on Development
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26460848
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
田中 太一郎 東邦大学, 医学部, 講師 (70402740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西脇 祐司 東邦大学, 医学部, 教授 (40237764)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 貧血 / 乳幼児 / 精神発達 / 運動発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳幼児貧血は小児科診療の場で比較的よく認められる疾患である。鉄欠乏性貧血が3 か月以上継続すると精神運動発達の遅れに繋がるため、欧米では乳幼児貧血の予防・改善のための指針が策定されている。しかしわが国にはこのような指針はなく、乳幼児貧血に関する疫学研究もほとんど行われていない。本研究では「母の妊娠中の状況と乳幼児の貧血発症との関連を明らかにする」「乳幼児の貧血が児の体格・発育・発達(精神・運動)に与える影響を明らかにする」ということを研究目的とした。 沖縄県では日本で唯一、県内全市町村で乳幼児健診の全受診児にヘモグロビン(Hb) 値測定が行われている。また乳幼児健診・妊婦健診データが全て電子化され、それらのデータを利活用する仕組みが構築されている。そこで本研究は沖縄県内の市町村を対象に実施した。 児の精神発達・運動発達の状況、貧血治療の状況について把握・評価するための調査票を27年度に作成した。調査票にはデンバー発達スクリーニング検査・遠城寺式発達検査法の通過年齢が3歳頃の設問、およびPARS-TR(広汎性発達障害日本自閉症協会評定尺度)の設問が含まれている。そして、この調査票を28年9月から29年2月に沖縄県内の7つの協力市町村で3歳児健診を受診した母児を対象に実施し、1808人の児について調査票を回収した。平成29年度(最終年度)は調査票の記載内容を電子データ化し、乳児・1歳6ヶ月健診時のヘモグロビン(Hb)値などのデータと結合した。そしてそのデータ分析および結果の市町村等への還元を行った。 乳児後期健診、1歳6ヶ月健診のいずれかまたは両方でHb値が11g/dl未満であった児410人のうち205人(50.0%)が「健診で貧血と言われたことがない」と回答した。乳児後期、1歳6ヶ月健診時の貧血の有無と3歳児の発達との間にはいずれの項目においても有意な関連は認められなかった。
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