2016 Fiscal Year Research-status Report
オントロジーを用いた薬物有害事象の薬力学的機序の推論手法に関する研究
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26460857
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今井 健 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (90401075)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オントロジー / 知識推論 / 薬力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、薬物による有害事象の発生原因となり得る薬力学的機序をオントロジーに基づいた計算機推論により導出する手法の開発である。 これまで、薬効薬理オントロジーフレームワークの基礎開発を行った上で、DrugBankなど既存のデータベースから収集された知識インスタンスをこれに追加し、これでも不足している状態連鎖の知識については、解剖構造物のメカニズムに基づいた推論 (例えば膀胱のムスカリン受容体の阻害作用から平滑筋弛緩状態が起こった際に、その後起こりうる状態連鎖を解剖構造物のタイプ (管状構造物・袋状構造物など) に基づいて導出するアルゴリズム) により知識補完を行い、またこれをオントロジーと連携させる手法について開発を行ってきた。本年度は (1) これまでの成果のシステム実装、(2) 上記手法によっても補うことが難しい機序推論に関する知識の不足領域について、文献等から人手で重点的に知識収集作業を行うこと、並びに (3)システム全体の評価を行うことを目的とした。 (1) のシステム実装については最終的な Webアプリケーションのプロトタイプ開発が順調に進行している。一方で (2) については薬理学知識の専門家である研究協力者の異動後の業務多忙により十分な連携ができず、知識収集計画の策定に想定以上の時間がかかったため、実際の収集作業が十全に行えなかった。そのため延長申請の上、これらの知識追加作業、並びにこれに基づいた (3)のシステム全体の最終評価については次年度に行うこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究協力者の異動後の業務多忙により十分な連携ができず、追加知識収集計画の策定に想定以上の時間がかかったため、本年度予定していた実際の収集作業に遅延が生じた。またそれにより、追加知識を統合して構築するシステム全体の評価も行えなかった。そのため延長申請の上、これらの作業については次年度に行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度十分に連携できなかった薬理学知識の専門家である研究協力者との連携体制については再整備を終えており、次年度研究を遂行する体制は整っている。また不足知識の収集計画と重点的に行う対象領域の策定も進行している。次年度ではまず、この計画に基づき不足している知識の収集を行う。また既存データベースからの抽出知識・推論による自動補完知識・次年度で収集する知識の3種のデータをオントロジーとして統合する。またこれを用いて薬物有害事象の用語から想定される薬力学的機序を状態連鎖として提示するシステム全体をWebアプリケーションとして実装し、副作用データベース等を対象として評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度研究の過程において、専門知識を持つ研究協力者との連携が十全に行えず、計画していた作業に遅延が生じた。そのため研究期間の延長申請を行った上で、当初研究内容の一部を平成29年度に行うこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
作業遅延により、当初予定していた知識収集のための人件費等の経費は平成28年度には使用せず、次年度に繰り越している。次年度ではこれらの経費は、計算機推論に基づく自動補完手法でも補うことが難しい機序推論に関する知識の不足領域について文献等から人手で重点的に知識収集作業を行う目的のために使用する予定である。その他の経費については研究の取りまとめのために使用する予定である。
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