2015 Fiscal Year Research-status Report
ICTを利用した自己管理支援システムの構築とその効果の検証
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26460858
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
脇 嘉代 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (70505891)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 2型糖尿病 / ICT / 生活習慣 / 療養指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は2型糖尿病患者を対象に情報処理・言語処理装置を搭載した医療ICTシステム(DialBetics)を用いて糖尿病の自己管理を支援し生活習慣の改善と良好な血糖管理を維持することを目的とする。 今年度は臨床試験を実施するにあたり、システムの頑健性・信頼性を十分に確認した。システムの開発に携わった研究者らを対象にシステムの安全性・正確性を確認した後、1ヶ月間の予備検討を行い、システムには、臨床試験の運営に支障を来すほどの不具合事象が起こらないことを確認した。続いて、東京大学医学部附属病院の糖尿病・代謝内科に通院中の2型糖尿病患者10名を対象に1ヶ月間の予備試験を行った。生活習慣判定モジュールによる生活習慣の評価が妥当であることを確認し、システムから支援を得て、患者の行動変容が改善する傾向にあることを確認した。試験終了時の患者を対象としたインタビュー調査では、アドバイス文の表示が文字であると読みにくい、などの意見が認められた。アドバイス文を合成音声で音読する仕組みの導入の是非を検討するため、東京大学医学部附属病院の糖尿病・代謝内科に通院中の糖尿病患者50名を対象に対面式インタビュー調査を実施した。87%が音声表示機能を搭載すべきであると回答し、64%は合成音声でも構わないという意見であった。男性の患者は女性の音声を好み、女性の患者は男性の音声を好む傾向にあった。また、男女どもに、高いトーンよりも、やや低い落ち着いたトーンを好むことが分かった。患者の性別や年代により音声の抑揚や変化パターンへの好感度の違いが明らかとなった。次年度に実施予定の患者の特徴に応じた個別化した療養指導プログラム開発への準備に向けて2型糖尿病・糖尿病予備群を対象とした生活習慣・在宅測定データの自己管理ICTアプリケーションを一般公開し臨床研究を開始した。全て東京大学医学部の倫理委員会の承認を得て実施された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
患者を対象に実施した予備試験で、音声表示機能を搭載すべきという意見があり、その必要性の検討を行ったため予定より多少の遅れを認めている。本年度中に東京大学医学部附属病院の糖尿病・代謝内科に通院中の糖尿病患者で糖尿病の教育入院が必要であるが、事情により入院できない患者30名を対象とした臨床研究を開始する予定であったが、来年度に開始時期がずれ込んでいる。当該試験の開始に向けた準備は本年度中に進めており、東京大学医学部附属病院の倫理委員会の承認は得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は東京大学医学部附属病院の糖尿病・代謝内科に通院中の糖尿病患者で糖尿病の教育入院が必要であるが、事情により入院できない患者30名を対象とした3ヶ月間の臨床研究(ランダム化比較試験)を実施する。ICTシステム使用群(通常の外来診療に加えてDialBeticsを使用)と従来治療群(通常の外来診療のみ)の2群に分類し、臨床研究開始前と終了後のHbA1cの変化量を2群間で比較する予定である。同期間中に教育入院を受けた患者のHbA1c改善程度とも比較し、医療経済学的検証も行う。また、患者の特徴(生活習慣、在宅測定データ)に応じた個別化した療養指導プログラムの開発に取り組む。
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Research Products
(4 results)