2014 Fiscal Year Research-status Report
感染防止対策加算算定病院の感染対策の整備状況および地域連携に関する実態調査
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26460864
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
西村 信弘 島根大学, 医学部, 准教授 (30529657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 昌博 島根大学, 医学部, 教授 (30359806)
直良 浩司 島根大学, 医学部, 教授 (90243427)
城 有美 島根大学, 医学部, 医科医員 (20506464)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 感染防止対策加算 / 感染制御 / 感染対策 / 診療報酬 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成24年4月の診療報酬改定で、感染防止対策加算が医療安全対策加算とは別の評価体系に改められ、多くの施設が算定を開始している。これには多額の医療費が投入されることから、加算開始後の病院の感染対策実態を、目に見える形で評価・分析し、その結果を出来るだけ速やかに国民に対して公表することが望まれる。 アンケート調査:(i)病院に関する基本情報:感染対策加算算定の有無、算定開始時期、設置主体、臨床研修病院の有無・形態、病床数、医療従事者数、医業収支など。(ii)感染対策活動に関する項目:感染防止対策委員会・ICT会議等に関する情報(設置時期、開催回数、構成員等)、回診、職員研修、抗菌薬の適正使用の監視体制などについて、病院別にデータを収集するためのアンケート調査表を作成した。調査実施前に島根大学医学部医の倫理委員会へ研究実施について審査申請を行ったが、「審査対象外」との指示・決定が通知され、病院業務に係る法令を遵守して、係る研究活動に従事せよとの指示に従い、研究を遂行することとした。各地区の厚生局が公表している感染防止対策加算1および2算定施設を調査したところ、約3,600施設が算定していることが判明し、すべての施設にアンケート調査表を送付して、研究協力を依頼した。4月末の時点で約300施設より回答が寄せられ、現在、再度ハガキにて、研究協力依頼を行っている。すくなくとも1,000施設の回答が得られることが望ましく、それにより本研究の意義が大きくなり、国民に対して有益な情報公開ができると考えられる。 学会における情報収集:日本化学療法学会・日本感染症学会合同学会および日本環境感染学会学術大会に研究代表者が参会し、感染防止対策加算に関連する施設報告、地域での取り組み等の情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では、感染防止対策加算1および2算定施設を2,500程度と想定してたが、平成27年9月現在において、約3,600施設が算定していることが明らかとなり、アンケート調査表の送付作業に多くの時間を費やすこととなった。そのため、アンケート調査表の回答期限を5月中旬までとし、現在、回答の回収が継続している。そのデータ入力も進行しているところであり、回収された回答の80%がデータベースへの入力を終えている。アンケートについての問い合わせ等も多く、研究協力施設は更に増えることが推察されるため、目標回答施設数を1,000施設に設定し、締切後に到達していなければ、さらに研究協力依頼を行う予定である。 一方、感染防止対策加算による抗菌薬適正使用の推進について、サーベイランス実施状況あるいは、評価方法に関するシンポジウムが日本医療薬学会年会にて開催され、新ポジジストとして講演を行った。さらに、厚生労働科学研究ひ補助金により展開している抗菌薬サーベイランス事業(研究協力者となっている。研究代表者は村木優一)とコラボレートし、我が国において感染防止対策加算が認められたことで、抗菌薬適正使用の面にどのような影響(成果)が生じたのかを考察し、日本化学療法学会の公募シンポジウムにて報告する。また、以前より島根県における感染対策の地域連携を継続して実践しているなかで、感染防止対策加算に関わるテーマにてセミナーを2回開催し、その成果を日本化学療法学会にて報告する予定である。 学会における情報収集においては、第88回日本感染症学会学術講演会・第62回日本化学療法学会総会(開催地:福岡市)および第30回日本環境感染学会総会・学術集会に研究代表者が参会し、感染防止対策加算に関連する施設報告、地域での取り組み等の情報収集を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケート調査については、回答施設数1,000施設を目標に設定し、アンケート回答締切後に到達していなければ、さらに研究協力依頼を行う。また、8月までには、すべての回答内容をデータベースに入力し、解析を開始する準備を整え、10月までに解析・評価を終えるロードマップを作成している。このアンケート調査はこれまでの先行研究の規模を大きく上回るものであり、その研究成果は今後の「感染防止対策加算」の診療報酬における取扱に大きな影響を与えるものと考えられる。したがって、十分に検討を加え、慎重な解析・評価が求められることから、研究のの進行が計画よりもやや遅れているものの、十分に時間をかけてデータ収集を継続し、解析・評価するつもりである。 さらに、上記の解析結果を基に、病院機能評価機構の評価結果との関連を調査・調査解析を実施し、総合的な評価を行う予定である。また、先進的な病院への訪問調査を予定どおり、平成28年度に実施する。 また、加算の算定要件に感染防止対策に関する地域連携が含まれ、これまでとは異なった観点からの調査が必要であることから、本研究ではアンケート調査、日本医療機能評価機構(JCQHC)の感染対策関連項目の調査および選定病院での面接調査を実施し、今後の感染対策に関する科学的エビデンスをも提供すること、今後重点的に評価すべき項目や課題を明らかにするを目的としている。さらに、医師、看護師たけではなく、感染対策に関わるすべての医療スタッフに対する提言を行う事を目指している。
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Causes of Carryover |
感染防止対策加算に係るアンケート調査の実施および回答の回収、データ入力作業が平成26年度末から平成27年度初めにかかったため、平成26年度内の予算の執行が予算額に比較して、減額した形となった。しかし、すでに平成27年度4月に継続した研究実施による予算執行を行っており、今年度には予定額が執行できる見込みである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
感染防止対策加算に係るアンケート調査の回収のための郵送費、研究協力の再依頼のためのハガキ代金、アンケートデータ入力等にかかる人件費を平成26年度執行予定分も含めて、平成27年度に執行する。 研究成果の発表予定の学会に参会し、さらに情報収集を行い、今年度にさらに研究成果発表および関連情報収集のために学会参加を予定している。
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