2016 Fiscal Year Research-status Report
感染防止対策加算算定病院の感染対策の整備状況および地域連携に関する実態調査
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26460864
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
西村 信弘 島根大学, 医学部, 准教授 (30529657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 昌博 島根大学, 医学部, 教授 (30359806)
直良 浩司 島根大学, 医学部, 教授 (90243427)
城 有美 島根大学, 医学部, 医科医員 (20506464)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 感染防止対策加算 / 感染制御 / 抗菌薬適正使用 / 地域連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、感染防止対策加算算定病院を対象に感染対策活動の実態を明らかにすることを目的とし、加算算定届出3,680施設を対象にアンケートによる感染対策の活動状況調査を実施した。回答率は約20%で、加算1算定の304施設および加算2算定の404施設より情報が得られた。加算1の91%で看護師が専従していたが、それ以外の職種の専従化は10%未満であった。加算2では、看護師においても専従化は9.5%であった。一方、専任者の配置状況は、加算1でいずれの職種も56-60%であったのに対し、加算2では看護師でも46%にとどまり、その他の職種は35-37%であった。これらのことから、スタッフの専従化、専任化は難しい現状であることが推察された。また、加算1ではいずれの職種も90%以上が院内ラウンドに参加していたが、加算2では特に医師の参加率が70%未満と低い傾向が認められた。また、加算2施設では、薬剤師および臨床検査技師が院内ラウンドに毎回参加できていない現状も明らかとなった。以上の結果より、加算2を算定している小規模施設では人的体制整備が十分でない状況が確認され、今後の感染対策上考慮すべきであると考えられた。 平成28年度の診療報酬改定では、感染防止対策加算の変更はなかったものの、施設基準に感染対策チーム活動(ICTラウンド)が新たに明示され、各医療機関では対応に追われたとの意見が多く聞かれた。また、厚生局の立入検査により、感染防止対策加算が取り消された医療機関があるとの情報も得られている。 一方、感染対策活動の地域連携については、地域における感染症発生状況や感染対策の実施状況が大きく異なっている、すなわち地域差があることが分かってきたため、全ての都道府県の状況確認の実施の方がより有用性の高い情報となると考え、各都道府県を対象に調査を進めることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アンケート調査およびデータ入力は終了し、解析・評価を進めている。平成28年度は国内学会で4演題、国際学会(東京開催)で1演題、国際学会(海外開催)で1演題の成果発表を行った。現在は、データの信頼性等の評価を加え、解析結果と学会等で得られた情報から、論文にて公表すべき内容を精査している。 また、感染対策活動の地域連携については、研究計画では先進的に実施している地域あるいはグループを取材すること、およびその情報を公開することで、全国の各地域における 感染制御地域連携を推進し、均てん化することを目的としていた。しかし、地域ごとに感染症発生状況や感染対策の実施状況が大きく異なっていることが分かってきたため、全ての都道府県の状況確認の実施がより有用性の高い情報となると考え、アンケートあるいは聞き取り等の方法を用いて、各都道府県を対象に調査を行うための準備を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は調査結果を解析し、内容を精査・検証したデータに基づき、国内外の感染制御あるいは医療安全をテーマとした学会において研究成果発表を行った。その際に得られた意見や情報を収集し、データの再検討、解析を実施し、平成29年度に改めて国内および国際学会等で報告する予定としている。 既に、International society for pharmacoeconomics and outcomes research (ISPOR) 22nd Annual international Meeting (Boston)でのポスター発表演題が採択されており、分担研究者が発表を行う予定である。また、ロンドンで開催される34th International scientific meeting on quality and safety in health care (ISQua)へ抄録を登録しており、審査結果を待っている状況である。国際的に感染制御が先進的に実践されている米国および英国において、我々の研究結果を発表し、国際的な視点の下で、多くの研究者と議論を行い、我が国が進むべき方向性を見出したい。これらのことを踏まえ、国際的学術雑誌への投稿を行う予定である。 また、各大学病院の感染制御部門に対して、メールあるいは電話にて、感染対策活動の地域連携の状況を確認することとしている。すでに調査済みの地域を含めて、感染対策活動における地域連携の在り方について、将来的な方向性を提言したい。
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Causes of Carryover |
感染対策活動の地域連携については、研究計画では先進的に実施している地域あるいはグループを取材すること、およびその情報を公開することで、全国の各地域における感染対策地域連携を推進し、均てん化することを目的としていた。しかし、地域ごとに感染症発生状況や感染対策の実施状況も大きく異なっていることが分かってきたため、全ての都道府県の状況確認の実施がより有用性の高い情報となると考え、各都道府県を対象に調査を進めることとした。そのため、1年間の研究期間延長を申請し、承認された。 これにより、調査費用として、コピー用紙、USBメモリ、葉書等の購入費用および通信費用が必要となり計上した。 また、研究成果発表を予定しており、学会参加のための旅費および参会費が必要となる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
感染対策活動の地域連携について、全ての都道府県における状況確認のための調査を進めることとした。具体的には、国公立大学附属病院感染対策協議会の薬剤師部会を通じて、大学病院を中心とした地域連携の現状について、アンケート調査を実施する。また、各都道府県の担当部署あるいは感染症情報機関に問い合わせて、現状調査を実施する。対面による調査が必要な場合は、現地に出向いて調査を実施する。 研究成果発表は2月に東京で開催される第33会日本環境感染学会総会・学術集会にて発表予定である。また、国際的な雑誌への投稿準備を進めるが、進捗が未定なため、予算としては計上しない。
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