2014 Fiscal Year Research-status Report
CBC検査の白血球粒度分布パターンを用いた感染制御支援システムの構築
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26460865
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
片岡 浩巳 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (80398049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥原 義保 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (40233473)
杉浦 哲朗 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (50171145)
久原 太助 高知大学, 医学部附属病院, その他 (80457407)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | CBCスキャッターグラム / 投薬クールイベント / データウエアハウス / MRSA |
Outline of Annual Research Achievements |
データ解析環境の整備の課題では、大容量メモリを搭載したワークステーションにCBC検査から得られた計測生データと投薬歴データおよび細菌検査データを結合したデータベースを作成し、連結不能匿名化処理を行った。CBC計測生データの精度は、季節変動と感染流行時に変動する領域を避けて、全データを対象としたトランケーション平均を評価する方法で、計測精度が保たれていることを確認した。 投薬クールイベントの検出アルゴリズムの開発課題では、薬歴と特定の細菌の検出期間を動的かつ高速に検索できる方法を考案し、データベースサーバに実装を行った。薬歴の場合は、休薬期間の長さ、細菌検出期間の導出の場合は、未検出期間を入力パラメータとして、考案したアルゴリズムで解くことにより、短時間で各種イベント情報を高速に得ることができた。これにより、投薬あるいは細菌感染が始まった日を基準に、検査値の変化を調べる解析が容易となった。高知大学の過去33年間の抗癌剤182薬剤、および、抗生剤268薬剤を対象とした投薬クールの検出の事例では、1薬剤あたり、中央値98ミリ秒となり、細菌データのイベント検出の事例では、1菌種あたり中央値488ミリ秒と実用的な検出スピードを得ることができるようになった。 このシステム基盤を元にして、本研究の主テーマとなる、白血球粒度パターンの解析について、感染症に罹患しやすいパターンの導出と抗生剤治療効果の迅速判定について解析を開始した。MRSAの初回菌検出日と抗生剤治療開始日を基準として、相対的な白血球粒度パターンの変化を抗生剤毎に解析し、その結果を評価した。この結果、抗生剤投薬後1日以内のCBC粒度パターンの変化で、効果判定ができることが判明した。 また、インフルエンザのテーマでは、事前に発症しやすい白血球粒度パターンを持つ患者を検出することが可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
対象データのデータ連結と匿名化、および、クレンジング作業が完了し、データウエアハウスの構築ができた。さらに、薬剤および細菌領域のイベント検出を効率的に行うことができるアルゴリズムを開発し、データベースサーバに機能を実装した。 MRSA感染者に対する抗生剤治療の迅速効果判定のテーマでは、最適選択薬の代表としてバンコマイシン(VCM)、そして、失敗群としてメロペン(SBT/ABPC)が選ばれた事例を元に1日後の白血球粒度パターンの変化を比較した。これにより、少なくとも1日後には、効果判定ができるパターンの存在を確認した。 投薬クールイベント検出アルゴリズムに関しては、第34回医療情報学連合大会「動的クールイベント検出法の開発とその適用事例の性能評価」、そして、抗生剤治療の迅速効果判定に関しては、第61回日本臨床検査医学会学術集会「白血球粒度パターンを用いた抗生剤迅速効果判定法」で発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
抗生剤治療の迅速効果判定のテーマでは、MRSA以外の細菌、主要抗生剤の組み合わせで、白血球粒度パターンの違いを導出し、各薬剤共通あるいは、個別の診断ルールを導出する予定である。また、抗生剤投与における副作用の迅速検出も可能であることが示唆される結果を得たため、この視点でも探索を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本研究成果の発表で、国際検査血液学会(米国)での演題がアクセプトされたため、旅費として支出する予定である。その他、構築したデータウエアハウスを利用して、さらに多角的に解析を実施し、学会発表と論文投稿のために研究費を支出する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際検査血液学会(シカゴ)で「Rapid evaluation of post-antibiotic effects by leukocytes differential scattergram」を発表する予定である。 その他、データのバックアップのための外部記録メディア等の消耗品を購入する予定である。
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Research Products
(2 results)