2014 Fiscal Year Research-status Report
動脈石灰化の形態学的分類と遺伝子多型との関連性について
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26460887
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
佐藤 文子 東海大学, 医学部, 准教授 (70328128)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 動脈石灰化 / AHA分類 / 免疫組織化学 / AHSG / MMPs / MGP |
Outline of Annual Research Achievements |
2007~2013年の6年間で、当教室で実施した法医解剖の中で、動脈硬化性変化を有する182例(男性110例、女性72例)の大動脈を検体とした。平均年齢は64.0±15.2歳。大動脈を写真撮影の後、ホルマリンにて固定、硬化性変化が集中する腹部から総腸骨動脈分岐部にわたる部位について、AHA分類に従い動脈硬化を分類した。切り出しを行い、キレート剤にて脱灰処理後、パラフィン包埋した。薄切切片に対し、H&E・EVG・コッサ染色を行った。死後経過時間の短い症例について、抗MGP、抗AHSG、抗MMP-1、抗MMP-3、抗MMP-9抗体を一次抗体に用いて、免疫組織化学検討を行った。対象症例のAHA動脈硬化組織分類は、0型7例、I型3例、Ⅱ型13例、Ⅲ型2例、Ⅳ型27例、Va2例、Ⅴabは111例、Ⅴb型は37例、Vabc を1例認めた。Ⅵaが6例、Ⅵb型が7例Ⅵab8例、Ⅵabc型は4例であった。年代は、10歳代1例、20歳代4例、30歳代6例、40歳代19例、50歳代38例、60歳代50例、70歳代36例、80歳代21例、90歳代7例であった。特に、60才以上では、90%に石灰化を伴うⅤb型以上の粥状硬化症を認めた。組織所見上、大動脈の石灰化の所見は、1)粥腫内に見られるびまん性石灰化、2)粥腫に見られる微細石灰化、3)粥腫を欠き、内膜にびまん性に石灰化、4)石灰化部分が骨化もしくは骨髄形成、に大別された。79例について免疫組織化学的検討を行った。陽性率は石灰化部分では、MMP-1 22例(27.8%)、MMP-313例(16.4%)、MMP-9 26例(32.9%)であった。AHSG 64例(81.0%)、MGP 67例(84.8%)が石灰化部位に陽性であり、MGPおよびAHSGでは、粥腫に100%陽性であった。びまん性石灰化、粥腫を欠く石灰化、潰瘍形成部分では陽性率が高く、微小石灰化の部位ではMMP-1、MMP-3、 MMP-9、MGP、AHSGとも陰性であった。今回の検討では、AHA分類Ⅳ型とⅥ型に、様々な石灰化変化が観察され、動脈硬化の評価と石灰化は必ずしも一致しないと結論付けられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検体の収集、組織学的検討、動脈石灰化の組織学的評価については順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代シークエンサーと呼ばれる超高速塩基配列決定装置を利用して、動脈石灰化の危険因子を探索することを中心に行う予定であった。 諸事情により、予定を変更し、大動脈解離、大動脈瘤と石灰化との関係について組織学的および免疫組織学的に検討する予定である。
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Causes of Carryover |
標本作製、免疫組織化学的検討の一部が施行途中であるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に助成金を用いて、標本作製、免疫組織学的検討などを行う予定である。
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Research Products
(1 results)