2015 Fiscal Year Research-status Report
動脈石灰化の形態学的分類と遺伝子多型との関連性について
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26460887
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
佐藤 文子 東海大学, 医学部, 准教授 (70328128)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 動脈石灰化 / 急性動脈解離 / 法医解剖 / intimal tear / 心肥大 / 高血圧症 / DeBakey 分類 / AHA分類 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成6~26年までの20年間で、当教室の法医解剖例の中で大動脈解離と診断された症例を対象とし、動脈石灰化と急性大動脈解離との関連性を調査した。性別、年齢、既往歴、病型、直接死因、心臓重量、intimal tear の長さ、石灰化の有無について調査した。剖検報告書及び臓器の写真、病理組織標本を用いた。20年間で、6231例の法医解剖が施行され、大動脈解離が原因で死亡した例は57例であった(年間平均3例、0.9%)。男性44例、女性13例、男女比は3:1、平均年齢は61.3±14.0歳。全例が急性大動脈解離で、慢性大動脈解離の再破裂例が1例存在した。病歴で最も頻度の高いのは、高血圧症(36.8%)で、加療中は22例中12例(54.5%)であった。DeBakey分類による病型では、I型35例(61.4%)、II型15例(26.3%)、IIIa型1例(1.7%)、IIIb型3例(5.3%)、Ⅲ逆行型3例(5.3%)であった。死因は心タンポナーデ49例(85.9%)、胸腔内出血6例(10.5%)、急性大動脈解離(未破裂)1例(1.8%)、急性心筋虚血1例が1例(1.8%)であった。大動脈解離例57例の心臓重量の平均値459±121gで、39例に心肥大を認めた(68.4%)。大動脈解離例57例のIntimal tear の長さの平均値3.1±1.9cmであった。Intimal tearに石灰化ある例は、4例であり、内膜亀裂が存在する部位の動脈硬化の進行程度はAHA分類では、Ⅲ型が22例(38.6%)、Ⅴab が15例(26.3%)であり、石灰化の進行していない例が多かった。大動脈解離症例57例の大動脈弁口の平均7.8±1.2cm であり、男女とも平均値よりも長い傾向にあった。大動脈弁口の長さは平均値よりも長く、大動脈弁閉鎖不全を合併し拡張もしくは、高血圧症によるshear stressにより、拡張した可能性が推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、当教室で行った急性大動脈解離の解剖例について、動脈石灰化との関係性について研究を行い、ほぼ終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
当教室の過去の解剖例の解剖記録、写真、病理組織標本を資料として、大動脈瘤と動脈石灰化との関係性について、研究を行う予定である。破裂と動脈硬化との関連性について、病理組織標本では、通常のHE標本以外に、EVG染色を行い調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
病理組織標本の特殊染色が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、前年度やり残した特殊染色を施行する予定である。
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Research Products
(2 results)